山形県鶴岡市
山形県鶴岡市の山奥に位置する大鳥池に潜む、巨大魚タキタロウ。100年以上前から目撃情報が相次ぐが、正体は不明。体長1メートルとも2メートルともいわれ、その身は無類の美味と伝えられる。謎に満ちたタキタロウを追って、釣りの素人が現地を訪ねた。
最寄りのICから山形自動車道「鶴岡IC」を下車
最寄りのICから山形自動車道「鶴岡IC」を下車
8月某日、雨上がりの夕方。渋谷の釣具店に入った僕は、店員さんに話しかけた。
僕「すいません。ちょっといいですか。僕、釣りについてな~んにも知らないんですけどね」
店員「……は、はい」(不審げ)
僕「今度、山形に釣りに行こうと思ってるんです。山奥に大きな池があって。大鳥池っていうんですけど」
店員「……え、ええ。大鳥池、知ってます」(まだ不審げ)
僕「そこで釣りをするための道具が欲しいんですよね。何も持ってないので」
店員「……なるほど! 何を釣るんですか? やっぱり池だとブラックバスとか?」(買い物客だとわかってパッと顔が明るく晴れる)
僕「イワナとかだと思うんですけど……」
店員「なるほど、イワナ!」
僕「ただ、ちょっと普通のイワナではなくて……。2メートルぐらいあるかもしれません」
店員「……2メートル!?」(目がテン)
僕「タキタロウっていうんです。謎の巨大魚って言われてて。漫画の『釣りキチ三平』にも出てくるんですが、知ってますか?」
店員「タキタロウ……ああ、聞いたことありますね」(苦笑)
僕「タキタロウが釣れる道具をください!」
店員「……お客さん、釣りの経験は?」
僕「あ、全くありません。20年以上前に一度、釣り堀に行ったことがあるぐらいで」
店員「……なるほど……」
ここで考え込んだ様子の店員さん。数秒後、意を決したようにこう言った。
店員「わかりました。用意しましょう!」
川内イオ