未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
74

山形の秘境・大鳥池で釣り糸を垂れる

伝説の巨大魚タキタロウを追って

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.74 |10 September 2016
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#13ついにその瞬間は訪れた!

途中から上着を脱ぎ、釣れそうな場所に移動

 その日のうちに東京に戻るために、僕は12時には山を下り始める予定だったから、あと1時間しかない。
 大鳥池まできて釣果ゼロは、悪夢だ。
 焦りが募って、昨日の山道で作ったどうでも良い言葉が頭に思い浮かぶ。
「足元を見るな。空を見ろ」
 空を見ても釣れないよ!

 破れかぶれな気分になった僕は、水門付近をバタバタと歩き回り、ルアーを激しく動かした。小魚と間違えてルアーに食いつく、という通常の使い方では反応がないので、ルアーの不規則すぎる動きに翻弄された魚が釣り針に引っかかる、という独自路線を狙ったのである。ほかに釣り人がいたら怒られてしまうかもしれないが、その日、大鳥池にいたのは僕ひとりだし。
 そうして釣竿をギュンギュン動かして数分が経った頃、突然、釣り竿にググッと重みがかかった。それまで一度も感じたことのない感触だ。
 こ、こ、これは!!!

 そういえば、最も肝心な「魚が引っかかった後にどうすればいいのか」を釣具店の店員さんに聞くのを忘れた。僕の数少ない知識では、リールを巻いたり戻したりして駆け引きしているイメージがあるけど、そうしていたのはマグロを狙う松方弘樹だ。
 仕事も、恋愛も、何もかも、駆け引きが苦手な僕は、思い切って一気に引き上げた。
 釣り針の先には、5センチほどの小魚が揺れていた。


未知の細道 No.74

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

二泊三日

最寄りのICから山形自動車道「鶴岡ICを下車
1日目
鶴岡駅から タキタロウ館 までドライブ(約70分)。道中の長閑な田園風景が美しい。
昼間の登山は大変なので、タキタロウ公園オートキャンプ場で1泊。
釣り堀で釣ったイワナを食堂で塩焼きにしてもらおう。
2日目
午前中に大鳥池へ。3時間~3時間半で タキタロウ山荘 に着く。到着後は大鳥池でひねもす釣り糸を垂れる。
夜はタキタロウ山荘で宿泊。食事や風呂がないので各自で準備する。
小屋主の佐藤さんに頼むと、タキタロウの話をしてくれる。
3日目
午前中も釣りを楽しむ。午後に下山。
汗を流したい人は、鶴岡駅前の第一ホテルで大浴場に浸かるのがおススメ。

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。