そもそも、タキタロウのことを知ったのは、2014年9月23日、デイリーポータルZというウェブメディアに掲載された「伝説の巨大魚、タキタロウ調査隊に参加してきた」という記事を読んだのがきっかけだった。
地元住民と全国の有志が参加したこの調査は、長年、大鳥池に潜むといわれるタキタロウの魚影調査と大鳥池の水質調査が目的ということだったけど、驚くべきは、大鳥池が最大水深71メートルもある池で、イワナやヒメマスが生息できない水深30メートル、40メートルの水域に、巨大な魚影が何度か確認されたこと。使用した魚影探知機の性能の問題で、魚の正確な大きさや形まではわからなかったそうだけど、逆に「何かがいる! 確実にいる! でも何かわからない!」という曖昧な情報が、僕には刺激的だった。
子どもの頃から、UMAと呼ばれる未確認生物をテーマにしたテレビや本が好きなんです。UMAとは、わかりやすいところでいうとヒマラヤ山脈に住むと言われる雪男イエティや、ネス湖に潜むネッシーが有名だ。
でも、大半のUMAは信ぴょう性の薄い言い伝えに過ぎず、時に「目撃情報はねつ造でした」と暴露されている。寂しいことだけど、衛星で世界中をくまなく監視できるような時代に、未知の巨大生物なんているわけねーよ、というのが現代の常識的な意見なのだ。
川内イオ