未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
74

山形の秘境・大鳥池で釣り糸を垂れる

伝説の巨大魚タキタロウを追って

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.74 |10 September 2016
この記事をはじめから読む

#3魚影探知機に映されたタキタロウ

大鳥池に向かうスタート地点にあるタキタロウ館にて

 そもそも、タキタロウのことを知ったのは、2014年9月23日、デイリーポータルZというウェブメディアに掲載された「伝説の巨大魚、タキタロウ調査隊に参加してきた」という記事を読んだのがきっかけだった。

 地元住民と全国の有志が参加したこの調査は、長年、大鳥池に潜むといわれるタキタロウの魚影調査と大鳥池の水質調査が目的ということだったけど、驚くべきは、大鳥池が最大水深71メートルもある池で、イワナやヒメマスが生息できない水深30メートル、40メートルの水域に、巨大な魚影が何度か確認されたこと。使用した魚影探知機の性能の問題で、魚の正確な大きさや形まではわからなかったそうだけど、逆に「何かがいる! 確実にいる! でも何かわからない!」という曖昧な情報が、僕には刺激的だった。

 子どもの頃から、UMAと呼ばれる未確認生物をテーマにしたテレビや本が好きなんです。UMAとは、わかりやすいところでいうとヒマラヤ山脈に住むと言われる雪男イエティや、ネス湖に潜むネッシーが有名だ。
 でも、大半のUMAは信ぴょう性の薄い言い伝えに過ぎず、時に「目撃情報はねつ造でした」と暴露されている。寂しいことだけど、衛星で世界中をくまなく監視できるような時代に、未知の巨大生物なんているわけねーよ、というのが現代の常識的な意見なのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加


未知の細道 No.74

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。