未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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山形の秘境・大鳥池で釣り糸を垂れる

伝説の巨大魚タキタロウを追って

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.74 |10 September 2016
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#8タキタロウのお味は?

 この報道がきっかけで、朝日村が主体となり、NHKも加わって翌年の1983年から3年間にわたる大規模調査が始まる。
 最初の2年は特に成果がなかったが、3年目、2カ所の沢の入り口に刺し網をかけたところ、体長70センチ、体重5.6キロ、メスの巨大魚がかかった。これが後日、専門家の鑑定で意見が割れたという魚だ。調査班は、この魚を朝日屋の2階でお披露目した後、試食した。佐藤さんは顔をほころばせる。

「イワナ系の魚、鮭、マスとか川魚は、産卵が終わると食べても美味しくない。でも、その時に取れた魚はたんぱくなんだけど脂がのっていて、すごく美味しかった」

 タキタロウらしき魚が実際に捕らえられたのはこの時が最後だが、当時、魚群探知機で端から端まで探査したところ、20メートルから35メートルの間に100匹ほどの魚影が映し出された。それがNHK特集で放送されたことでタキタロウは一気に全国区になり、釣り人が訪れるようになったそうだ。

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未知の細道 No.74

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。