未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
74

山形の秘境・大鳥池で釣り糸を垂れる

伝説の巨大魚タキタロウを追って

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.74 |10 September 2016
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#8タキタロウのお味は?

 この報道がきっかけで、朝日村が主体となり、NHKも加わって翌年の1983年から3年間にわたる大規模調査が始まる。
 最初の2年は特に成果がなかったが、3年目、2カ所の沢の入り口に刺し網をかけたところ、体長70センチ、体重5.6キロ、メスの巨大魚がかかった。これが後日、専門家の鑑定で意見が割れたという魚だ。調査班は、この魚を朝日屋の2階でお披露目した後、試食した。佐藤さんは顔をほころばせる。

「イワナ系の魚、鮭、マスとか川魚は、産卵が終わると食べても美味しくない。でも、その時に取れた魚はたんぱくなんだけど脂がのっていて、すごく美味しかった」

 タキタロウらしき魚が実際に捕らえられたのはこの時が最後だが、当時、魚群探知機で端から端まで探査したところ、20メートルから35メートルの間に100匹ほどの魚影が映し出された。それがNHK特集で放送されたことでタキタロウは一気に全国区になり、釣り人が訪れるようになったそうだ。


未知の細道 No.74

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

二泊三日

最寄りのICから山形自動車道「鶴岡ICを下車
1日目
鶴岡駅から タキタロウ館 までドライブ(約70分)。道中の長閑な田園風景が美しい。
昼間の登山は大変なので、タキタロウ公園オートキャンプ場で1泊。
釣り堀で釣ったイワナを食堂で塩焼きにしてもらおう。
2日目
午前中に大鳥池へ。3時間~3時間半で タキタロウ山荘 に着く。到着後は大鳥池でひねもす釣り糸を垂れる。
夜はタキタロウ山荘で宿泊。食事や風呂がないので各自で準備する。
小屋主の佐藤さんに頼むと、タキタロウの話をしてくれる。
3日目
午前中も釣りを楽しむ。午後に下山。
汗を流したい人は、鶴岡駅前の第一ホテルで大浴場に浸かるのがおススメ。

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。