未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
74

山形の秘境・大鳥池で釣り糸を垂れる

伝説の巨大魚タキタロウを追って

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.74 |10 September 2016
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#14タキタロウには会えなかったけど

 ちっちゃい。でも嬉しい! タキタロウを釣りに来たという当初の目的はすっかり忘れ、初めての釣果に舞い上がった僕は、「とったどー!!!」と大声で叫んでいた。たった5センチの小魚を手に持って。
 証拠の写真を! とセルフタイマーで撮影したりしていたら、魚が小さすぎてなかなかうまく撮れず、あっという間に帰りの時間に。
 ちょうど雨が降り始めたため、僕は小魚を池に戻し、荷物をまとめて引き揚げた。

 雨中の下山は、灼熱の登山とは違う意味でつらかった。気温が下がったせいで、また奴らが現れたのである。そう、蚊の大群。
 でも、初めての釣りでなんとか(小)魚を釣り上げることに成功した僕は、早くも「次」に向けて、野望を燃え上がらせていた。
 今回は出会えなかった。
 でも、これは始まりに過ぎない。
 いつかの日か、相まみえようぞ。
 待ってろ、タキタロウ!

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未知の細道 No.74

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。