未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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美咲芸術世界が織りなすヘンテコな世界

〜パリから棚田に舞い降りた常識ハズレの風雲児たち〜

文= 川内有緒
写真= 川内有緒(一部写真提供 美咲芸術世界実行委員会)
未知の細道 No.121 |10 September 2018
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#9旅するアマンジャク

パリのメンバーと「59リヴォリの入り口にて」

 そうして、今年の春にパリに向かったメンバーは、楽画鬼さんやリンダさんをいれて、総勢8人。パリが初めてというアーティストもいた。
 今回、8人のミッションは二つ。ひとつは、59リヴォリの建物全体を「旅 VOYAGE」のコンセプトで装飾すること。「旅」は、第3回目の芸術祭のテーマである。
 ふたつ目は、その建物の装飾を舞台に見立てて、「アマンジャクの旅」と題したパフォーマンスを路上で披露することだった。こうしてアマンジャクは、綺麗な星は取れなかったものの、パリに旅をすることになったのだ。

  • ひとつ目のミッション、59リヴォリの建物全体を「旅 VOYAGE」のコンセプトで装飾した。

 装飾を終えた、8人のメンバーは個性的な妖怪に扮し、路上でパフォーマンスを披露した。先にも書いたが、「リヴォリ59」は渋谷のスクランブル交差点のような場所にある。そこに、妖怪である。開始の時間、あいにくの雨模様だったが、「アマンジャクの旅」は、ハプニング好きのパリジャンには大ウケだったようで、徐々に見物客が路上に鈴なりになり、大いに盛り上がった。

  • ふたつ目のミッション、建物(59リヴォリ)の装飾を舞台に見立てて、「アマンジャクの旅」と題したパフォーマンスを路上で披露。
パリで行われたパフォーマンス(「アマンジャクの旅」)の映像

さてさて、今年もいよいよ第3回目の美咲芸術世界の時期がやってくる。
 展示期間は9月23日から10月28日までの約一ヶ月間。今年は笠原舞さんらの影絵劇舞台(9/23)、そして59リヴォリを最初に占拠した3人のうちのひとりで、今も59リヴォリのリーダーであるガスパール・ドラノエさんのトークショー(9/15)も見所である。また、ここに移住を果たした土屋洋介さんも、改修を終えたアートスペース「エッフェル堂」で、地元の人々の「思い出」を素材としたパフォーマンスをする予定だ。
(プログラムの詳細は美咲芸術世界のフェイスブックページにて)

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未知の細道 No.121

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。