おおっ!本当に家なのか!
と、ここを訪ねるひとは、まず100%度肝が抜かれること間違いなし。なにしろ、壁からドアまで隙間なく絵が描かれている。そして、なかに入ると奥まで続くながーい廊下が出現。実は、ここはもともと幼稚園だった建物で、広さはなんと 1000平米!
楽画鬼さんは、家族四人でここに暮らす。
体操教室が開けるようなだだっ広い部屋がいつくもあり、制作スペースにはことかかない。それなのに家賃は月1万円だというから、東京の人間にはもはや衝撃である。
「廃園になった後は何年も使われていなかったんだって。入居した時はけっこう汚かったから、一生懸命に掃除して」
と思い出すのは楽画鬼さんの奥さんで、アーティストのスカット☆リンダ(以下リンダさん)さん。
「風呂はなかったから、とりあえず庭に五右衛門風呂作って。でも冬になったら五右衛門風呂は寒いじゃんって気がついて、普通の風呂も作って(笑)」(楽画鬼さん)
いまここで、ふたりは「キッサコ」というカフェやヨガ道場を運営している。ふたりの無数の作品や本やハンモック、そして幼稚園時代から残っているオルガンや椅子が入り混じる曼荼羅のような空間だ。
しかし、しつこいようだが一歩外に出れば、風景は『日本むかし話』なのである。その激しいミスマッチがさらに興味をかきたてる。
ふたりがここに移住してきたのは2011年の春のことだったそうだ。
どこから? パリからである。
川内 有緒