北海道苫前郡
北海道の北西に浮かぶ焼尻島。この島の名物は、世界一にして幻と評される羊の肉。普段は高級レストランでしか食べることができないこの羊肉が、年に一度のお祭りで供される。その味を確かめに、東京から電車、飛行機、バス、船を乗り継いで島に向かった。
最寄りのICから【E62】深川留萌自動車道「留萌大和田」を下車
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「焼尻島で飼われているサフォーク種の羊の味は、世界一だ」
2012年の秋頃、某紙の仕事で日本を代表するフレンチのシェフ、三國清三さんにインタビューする機会があった。北海道の食材が持つポテンシャルがテーマで、その時に最も強く印象に残っているのが、この言葉だった。
焼尻島と羊について調べてみると、がぜん興味をかき立てられた。人口200人弱の焼尻島で、イングランドのサフォーク州原産の足と顔が黒いサフォーク種の羊が500頭ほど放牧されているとある。人間より羊のほうが多い島は日本でも焼尻島ぐらいじゃないか?
そして、その肉のほとんどが日本の名だたる高級レストランに直接卸され、なかなか一般の市場に出回らないことから、「幻の羊肉」と言われているそうだ。
世界一にして幻。
母親が北海道出身で、子どもの頃からジンギスカンに代表される羊のお肉が大好物の僕にとって、これほど食欲をそそる言葉もない。さらに調べを進めると、焼尻島では毎夏、「焼尻めん羊まつり」なるものが開催されていることがわかった。年に一度、2日間だけのこの祭りで「幻の羊肉」が販売され、その場で焼いて食べることができるという。
もちろん、都内のレストランでおしゃれに食べるのも良いと思う。でも、人間より羊が多い島で青空バーベキューをするほうが、より魅力的に感じた。焼尻の羊がなぜそれほど高く評価されるのか、ググればあれこれ書いてあるけど、やっぱり実際の現場を見てみたい。
いつか必ず!……と決意してから、あっという間の6年。ついに仕事とプライベートのタイミングが合い、8月4、5日に開催された「焼尻めん羊まつり2018」に向かった。
川内イオ