最後に、ブラッシング! 試合では1チーム4人で、ひとり2回ずつ投げる。そのうち、最初に投げる「リード」と2番目に投げる「セカンド」は、投げ終わったら主に「スウィーパー」と呼ばれる掃き手を担当する。
スウィーパーがゴシゴシとリンクをこすることで氷が融けて水が浮き、ストーンの滑りがよくなる。例えば、ストーンの勢いが弱い時に全力でゴシゴシすると、しない時よりも距離が延びる。試合では相手のストーンに当ててハウスの中心から押し出したりするから、少しの勢い、少しの距離が大切になるのだ。ちなみに、ブラシがストーンに触れるとアウト。白畑先生のアドバイスは、シンプル。
「ブラシはなるべく下を持ち、柄はわきで挟む。あとは体重を乗せてゴシゴシと掃く!」
わかりやすい。これなら俺にもできると思ったけど、甘かった。考えてみて欲しい。ストーンはかなりのスピードで氷上を滑っていく。そのスピードについて早歩きをしながら、ストーンの動きを見極め、完全に止まるまでひたすら全力でブラシを動かすのだ。これが、めちゃくちゃ疲れる。最初の1回で息が上がり、ハアハアいっていたら、先生に「今のストーンはめちゃくちゃ遅いですよ」と言われて、愕然としてしまった。
息が整わないうちに、もう1回いきますね、と言われて、再びゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシッと始めたはいいけど、ストーンのスピードに呼応するようにブラッシングのスピードが落ち、ストーンが止まる頃には僕も機能停止。最後の1センチを伸ばすためにギリギリまでひたすら高速でブラシを動かしているカーリングの選手、マジですごい。
川内イオ