次は、ストーンを投げるためのフォームの練習。最初に、陸上競技のスターティングブロックと同様のブロックに利き足を乗せる(僕は左足)。イチで腰を上げ、ニでスライダーを付けた軸足を前に出し、サンでその足を軽く引き、ヨンでブロックを蹴りながら、再び軸足を前に出す。その際、前に出した軸足に体重を乗せ、背筋を伸ばして視線も前方へ、もう片方の足は後方にピンと伸ばし、つま先を氷にのせる。
白畑先生のお手本を見ると、すべての動作が滑らかで美しい。一切の無駄がない。その動きを真似ようとするんだけど、これがまた笑えるぐらいにぜんぜんできない。先生のように後ろ足をピンと伸ばそうとするのだけど、身体が固くて低い姿勢が保てず、腰が上がってしまい、バランスが崩れてしまうのだ。何度かチャレンジしたけど、先生から「いい感じです!」と言われたのは1回だけだった。トホホ……。
時間が限られているので、ある程度の形を教えてもらったら次のステップに進む。今度は実際にストーンを投げてみる。ストーンはひとつ20キロあり、上部にハンドルがついている。そのハンドルを利き手で握り、足で蹴って滑り出した勢いに乗った状態でそっと送り出すのがコツ。
左手の場合はハンドルを「10時の方向」で握り、手を放すタイミングで「12時の方向」に少し動かす。そうすると、ストーンが回転し、ゆっくりと弧を描くようにしてハウス(ストーンを投げ入れる同心円)に向かう。……ということなんだけど、そもそも蹴りだした時の姿勢が安定していないうえに、手を放すときにどうしても力んで、ストーンが回転し過ぎたり、勢いがよすぎたりして、まったくハウスのなかに収まらない。軽く、柔らかく、繊細に、と意識すると、今度はハウスに届かない。10回以上投げて、ハウスのなかにおさまったのは1回のみ。
実際の競技では、ハウスの中心に一番近いストーンがあるチームに得点が入るので、ハウスのなかに収めるのが基本中の基本なんだけど、我ながら完全に戦力外! あー! とか、うー! と呻き、頭を抱えながら、カーリングの難しさを体感した。
(カーリングの詳しいルールを知りたい方は、常呂町のカーリングチーム「ロコソラーレ」のホームページにある解説がわかりやすいので参照してください)
http://www.locosolare.jp/curling/curling.html
川内イオ