女満別空港から常呂町までは、車で1時間弱。カーリングホールに着き挨拶を済ませると、シューズなどを受け取ってロッカールームに向かった。さすが「カーリングどころ」、利用料は1時間1400円、ブラシ・靴・スライダーなど用具一式は120円、防寒着上下も400円でレンタルできるので、ほぼ手ぶらでカーリングを体験できる。2013年に完成したカーリング専用屋内競技場は、まだ真新しい雰囲気で一面に張られた氷がとてもきれい。
今回、カーリングの「カ」の字も知らない僕にイチから指導してくれたのが、白畑容子(旧姓:三村)さん。僕の師匠となる彼女こそ、長野五輪に出場した元日本代表選手だ。白畑さんがカーリングを始めたのは、1988年。高校を卒業し、町役場の職員になったその年、常呂町に最初の室内練習場が完成し、職場の先輩から「体力作りにやってみない?」と誘われたのがきっかけだった。
「趣味で始めたんですけど、負けたら悔しくて練習するようになったんです」
詳細は後述するが、その頃、すでに町内ではカーリングが根付いており、「先輩たちがたくさんいて、みんなが先生みたいでした。常呂町が日本で一番レベルが高かったと思う」。次第にカーリングに熱中し、気づけば日本トップクラスの選手に。そして、カーリングが初めて五輪競技に採用された1998年の長野五輪で、女子日本代表に選出された。
ちなみに、カーリングは1チーム4人で構成されるが、長野五輪の日本代表男子3名、白畑さんを含む女子2名が常呂町出身だったというから、常呂町のレベルの高さがうかがえる。長野五輪では、女子は2勝5敗の5位でフィニッシュ。「わけもわからず五輪に出場した感じだったけど(笑)、町を挙げて応援してくれたし、楽しかった」と振り返る。
川内イオ