未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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いわきの山でトレジャーハンティング

森の宝石とキノコの王様を求めて。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.124 |25 October 2018
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#4キノコハンター

ひょいひょいと身軽に山を登る明雄さん。

 「まずは、キノコが生えているか見てみましょう」ということで、トリュフ発見の現場に行く前に、そのほかのキノコの生育状況を確かめることになった。武子さん曰く秋のキノコのシーズンはもう終盤で、トリュフどころかキノコ自体があまり生えていない可能性があるという。ええ! なんということでしょう……キノコの日なのに!

 おふたりは、登山道など一切ない自然のままの山をぐんぐん登っていく。80歳にしてなんという健脚!「今の季節はシシタケ、アカモミタケ、ヒメサクラシメジが多いんです」と言いながら、山肌をチェックする。その視線は真剣そのもの、キノコハンターだ。

 僕もきょろきょろしていたら、意外にすぐキノコを発見。なんか嬉しい! どや顔で「これは何ですか?」と尋ねたら、「それは、ケロウジ。食べられないよ。パッと目につくキノコは、毒キノコが多いからね」と苦笑。知らないことばかりで、勉強になる。

キノコは落ち葉に埋もれるように、紛れるようにして生えている。

 最初の山では武子さんの予想通り、既にほとんどキノコは生えていなかったけど、それでもシシタケ、ヒメサクラシメジ、キハツダケなど僕もいくつか見つけることができた。明雄さんに「目がいいんだな。大したもんだ」と褒められて、テンションが上がる。

30分ほどで収穫したキノコ。このなかにも未知のキノコがあるかもしれない。
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未知の細道 No.124

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。