未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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男鹿の湯再建に挑む!

温泉ガール奮湯記

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.89 |25 April 2017
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#3温泉コンサルタントの見習いに

男鹿の湯の施設内。運営には温泉道場での経験が役立っている

 寝ても覚めても温泉のことばかり考えている水品さんが就職したのは、温泉道場。経営不振の温浴施設のリノベーションやコンサルティングを手掛け、再生させてきた温泉ベンチャーに、正面突破でアプローチした。

「社長が経営コンサル会社でセミナー講師をしていたので、そこに忍び込ませてもらったんです。経営者しかいないところに、私ひとり学生で。そのときに、働かせてほしいとお願いしたら、最初は『新卒の子をとる勇気はない』と言われたんですが、何回か会って話をするうちに認めてもらって、新卒第一号で採用してもらいました」

 当時は社員5人名程度の温泉道場で、水品さんは唯一のコンサル見習いに。普段は、同社が運営する温浴施設で働きながら、社長のもとで温泉ビジネスを学んだ。

 仕事をしているうちに温泉への愛がどんどん昂ぶり、次第に「自分で温泉宿をやりたい」という想いが膨らんだ。そうして、「どこかに良い物件ないかな」と探しているうちに出会ったのが、「中三依温泉 男鹿の湯」。

「温泉経営者募集中、家賃無料という条件だったので、お風呂屋さんつながりのフェイスブックで話題になっていたんです。冷鉱泉だから燃料代はかかるし、企業が人を雇ってやろうとしたら、採算が合わない。でも、住み込みで工夫すればできると思いました」

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未知の細道 No.89

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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