未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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本当にネギとこんにゃく以外なにもないのか!?

下仁田町アポなし探訪!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.81 |25 December 2016
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#14取材NG店にもアタック!

店舗の構えからもアンティーク感が溢れる嶋屋さん。引き戸などは創業当時(1875年)のものだとか

 最後は、「あんこのなかにインゲン豆が入っている、美味いまんじゅう」(加庭さん)があるというお菓子屋さん、嶋屋へ。

 ここでもアポなしで取材のお願いをしたところ、「いきなりお客さんが増えると困るから、普段はお断りしている」ということだったのだけど、一番や安兵衛も取材したことを説明し、「ネギとこんにゃく以外の下仁田の見所として取り上げさせてほしいんです!」と頼み込んだら、「それなら」とOKしてくれた。

 嶋屋は、明治8年(1875年)創業の老舗で、お話を聞かせてくれたのは、5代目の山田勉さん。

「うちのあんこは薪とおがくずを使って、釜で炊き上げているんです。朝5時頃に火を入れて、全ての作業が終わるのは15時頃。通常は1週間分、60キロほど作りますが、注文が多い時は週に3回はこの作業をします。明治から続く方法で、すごく時間がかかるんですよ」

「売れ筋は、蔵まんじゅうです。味は3種類あって、あんこの中に白インゲンを入れているんですが、機械では入れられないから全て手作業です。ほかのお菓子もほとんど機械を使っていませんね。おかげさまで、県外から訪ねてきてくれるお客さんもいます」

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未知の細道 No.81

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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