「今はそうでもないんですが、僕の子どもの頃はこんにゃくで大成功した人たちがいましてね。こんにゃく農家って、1年のうち3ヵ月しか仕事がないんですよ。だから残りの9ヵ月で気前よくお金を使うので、町も賑やかでしたね」
「この狭い中心地にボーリング場やビリヤード場、映画館は3つもあって、そのひとつにはプールが併設されていました。近くの料亭には芸者さんもよくきていて、僕が子どもの時にはよく芸者さんと遊んでもらいましたね。当時は軽井沢から下仁田に遊びに来る人も多かったんですよ」
「こんにゃく大臣の名残は今でもあって、この小さな町にベンツとかベントレーとか高級外車が何台も走ってますし、若い人を育てようということで僕も都内のミシュラン星付きレストランに連れて行ってもらうこともあります」
これまでの人生でこんにゃくに注目したことはなかったけど、3ヵ月だけ働けばいいなんて知らなかった! しかも、一部とはいえ高級外車に乗れるほど稼げるなんて、こんにゃくドリーム! もっとその部分を強調したら、移住希望者が増えそうな気がする。ていうか一瞬、僕自身がライターからこんにゃく農家への転職を真剣に検討してしまいました(笑)。
川内イオ