未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
81

本当にネギとこんにゃく以外なにもないのか!?

下仁田町アポなし探訪!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.81 |25 December 2016
この記事をはじめから読む

#11こんにゃくドリーム!

かつて「銀座」と呼ばれて大勢の人で賑わっていた下仁田の中央通り

「今はそうでもないんですが、僕の子どもの頃はこんにゃくで大成功した人たちがいましてね。こんにゃく農家って、1年のうち3ヵ月しか仕事がないんですよ。だから残りの9ヵ月で気前よくお金を使うので、町も賑やかでしたね」

いまも残るビリヤード場の跡

「この狭い中心地にボーリング場やビリヤード場、映画館は3つもあって、そのひとつにはプールが併設されていました。近くの料亭には芸者さんもよくきていて、僕が子どもの時にはよく芸者さんと遊んでもらいましたね。当時は軽井沢から下仁田に遊びに来る人も多かったんですよ」

「こんにゃく大臣の名残は今でもあって、この小さな町にベンツとかベントレーとか高級外車が何台も走ってますし、若い人を育てようということで僕も都内のミシュラン星付きレストランに連れて行ってもらうこともあります」

 これまでの人生でこんにゃくに注目したことはなかったけど、3ヵ月だけ働けばいいなんて知らなかった! しかも、一部とはいえ高級外車に乗れるほど稼げるなんて、こんにゃくドリーム! もっとその部分を強調したら、移住希望者が増えそうな気がする。ていうか一瞬、僕自身がライターからこんにゃく農家への転職を真剣に検討してしまいました(笑)。

このエントリーをはてなブックマークに追加


未知の細道 No.81

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。