未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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本当にネギとこんにゃく以外なにもないのか!?

下仁田町アポなし探訪!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.81 |25 December 2016
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#7明治の酪農ベンチャー

空気が澄んでいて、深呼吸したくなる神津牧場の風景

 お店を出てから次に向かったのは、「日本じゃないような風景が見える」(松本さん)という神津牧場。町なかから車で1時間弱、荒船山を見ながらグルグルと山を越えると、山間に広々とした牧場が見えてきた。

 冬場の月曜日、さらに夕方ということで観光客の姿もない。ひとりで牧場を眺めていると、確かにアルプスの高原にでもいるような気分になる。観光協会の松本さんが事前に連絡を入れてくれて、場長の須山哲男さんに話を聞くことができた。

突然の訪問にもかかわらず、牧場を案内してくれた場長の須山哲男さん

「神津牧場は創立129年、日本最古の牧場です。ここで牛を飼って、製品を作るということをずっとやってきました。創業者の神津邦太郎という人が、慶應義塾の時代の福沢諭吉に学んで、その時に日本人の体格をよくしなきゃいけないという薫陶を受けて、私が西洋人の食べ物を作りましょうということで、明治20年(1887年)にここに牧場を作ったんです」

「日本人は当時、160センチ前後しない時代で、そのために外国から牛や機械を輸入してバターを作ったのが始まりです。ちょうどその時、軽井沢に外国人の宣教師が避暑に来るようになって、町ができ始めた。そこにバターを持って行って売ったり、牛を連れて行って牛乳を売ったりしていました。明治の酪農ベンチャーですよ」

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未知の細道 No.81

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。