参集殿という黄金山神社が運営する宿にチェックインし、入浴。金運開運ギラギラモードを静めて、黄金山神社の禰宜(ねぎ)、金華山で暮らして28年になる西村強さんに話を聞いた。
——金華山は東北三大霊場と言われていますが、どのような場所なのでしょうか?
「出羽三山、恐山、金華山が東北三大霊場です。金華山は島そのものが霊山で、昔から信仰の対象になってきました。昔でいえば、山伏や行者が霊力を高める修行の場所で、今の言葉でいうとパワースポットですね」
——定期船の船長は、震災の時に「女川は金華山に守られている」と感じたそうです。
「金華山は震源地から一番近い場所で、私もここにいましたが、揺れ方が尋常じゃなかった。海を見ていたら、潮がすごい勢いで引いていって、海の底の土が見えて、モーゼの十戒みたいな感じでした。この世の出来事ではなく、CGでも見てるのかなという気持ちになりました。津波も桟橋にある鳥居の上まで来たんですが、職員もお参りの方も、みんな無事で、大きなケガをした人もいなかった。やはり、神様に守られたのかなと思いますね」
——震災の時は、どんな状況だったのですか?
「島には寮があって、職員やお手伝いの方が住んでいますし、お詣りの方もいたので、そのまま神社の広間が避難所になりました。島に出入りするのは大変になりましたが、宿泊施設をやっていたので、ガソリンや灯油、ガス、布団もあったし、信者さんから奉納されたお米や食材もたくさんあったし、水は山からきれいな水が湧いているので、避難所としては恵まれていたと思います。
ただ、桟橋が地盤沈下して、道が崩れて、灯篭や頂上のお社も倒れたり、宿泊所のお風呂もぐちゃぐちゃになって、ここにお客さんを泊めるのは二度と無理だなと思いました」
川内イオ