朝5時の気仙沼は、まだ夜の暗さだった。吐く息が白い。腹周りのミートテックだけじゃ寒いかなとヒートテックを着込んだけど、正解だった。
ホテルから気仙沼魚市場までは徒歩10分程度。ぶらぶら歩いていたら、遠くからでも確認できるほど明るい建物が見えてきた。岸壁に並んだ漁船が煌々と周囲を照らしている。
思えば、朝の漁港に行くのは人生初! 寒さで冷やされたテンションが上がってきて、速足で魚市場に向かった。
魚市場では、事前に連絡していた気仙沼漁業協同組合の熊谷浩幸魚市場部長に案内をしてもらった。東日本大震災では12mの高さの津波に襲われ、漁港や市場も大きな被害を受けたそう。だけど、しっかりと再建されたようで、魚市場はたくさんの魚と漁師さん、市場の関係者で賑わっていた。海沿いのオープンな建物だから冷え込んでいるはずなのに、活気があるせいか、全く寒さを感じない。魚市場の2階には全長354mもある見学デッキがあるから、俯瞰で見学しても楽しいだろう。
コンクリートの上にはテレビでしか見たこともないぐらい巨大な魚がデーンッと横たわっていて、「おお! デカい!」と騒いでいると、熊谷さんが「これはカジキです。今日、一番大きいのは200キロぐらいありますよ」と教えてくれた。カジキといえば尖った鼻先が特徴だけど、切り落とされていて気づかなかった。最大300キロにもなるそうで、大きさの想像がつかない。
川内イオ