未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“究極で幻の珍味”を求めて三千海里!?

「海のギャング」を味わう気仙沼の旅

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.58 |10 January 2016 この記事をはじめから読む

#5いざ、気仙沼魚市場へ

続々と市場に運び込まれる魚たち

 朝5時の気仙沼は、まだ夜の暗さだった。吐く息が白い。腹周りのミートテックだけじゃ寒いかなとヒートテックを着込んだけど、正解だった。
 ホテルから気仙沼魚市場までは徒歩10分程度。ぶらぶら歩いていたら、遠くからでも確認できるほど明るい建物が見えてきた。岸壁に並んだ漁船が煌々と周囲を照らしている。
思えば、朝の漁港に行くのは人生初! 寒さで冷やされたテンションが上がってきて、速足で魚市場に向かった。

 魚市場では、事前に連絡していた気仙沼漁業協同組合の熊谷浩幸魚市場部長に案内をしてもらった。東日本大震災では12mの高さの津波に襲われ、漁港や市場も大きな被害を受けたそう。だけど、しっかりと再建されたようで、魚市場はたくさんの魚と漁師さん、市場の関係者で賑わっていた。海沿いのオープンな建物だから冷え込んでいるはずなのに、活気があるせいか、全く寒さを感じない。魚市場の2階には全長354mもある見学デッキがあるから、俯瞰で見学しても楽しいだろう。

 コンクリートの上にはテレビでしか見たこともないぐらい巨大な魚がデーンッと横たわっていて、「おお! デカい!」と騒いでいると、熊谷さんが「これはカジキです。今日、一番大きいのは200キロぐらいありますよ」と教えてくれた。カジキといえば尖った鼻先が特徴だけど、切り落とされていて気づかなかった。最大300キロにもなるそうで、大きさの想像がつかない。

市場内は見渡す限り魚、魚、魚。見たことのない魚もいた
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未知の細道 No.58

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。