未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“究極で幻の珍味”を求めて三千海里!?

「海のギャング」を味わう気仙沼の旅

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.58 |10 January 2016 この記事をはじめから読む

#2気仙沼の町にはサメがいっぱい

「お魚いちば」にはサメを食材に使った製品がいっぱい

 海沿いのホテルを予約していたので、駅前からタクシーに乗る。運転手さんは、身体が大きくて、声が低く、床屋に行ってからちょっと時間がたった感じの緩めのアイパー(ちょっと怖い見た目のパーマ)で、パッと見、イカツイ感じだった。でも「モウカの星を食べに来たんですけど、今夜、食べられるお店ありますかね?」と話しかけてみると、「わざわざ!?」と笑いながら、親切に「復興屋台村ならあると思うよ」と教えてくれた。ちなみに、運転手さんは「漁師の友達が分けてくれるから、店で食べたことはない」そう。ネットの記事で「獲れたそのほとんどが地元で消費される」と書かれていたけど、本当に地元に根付いている食材なんだなあ。

 駅から10分ほどで、ホテルに到着。チェックイン後、すぐにホテル直営の「お魚いちば」に向かう。店のなかには、見たこともないほど巨大なブリ、立派なアワビやサザエなどがゴロゴロしていて、思わずヨダレが出そうになる。
 店内をぐるっと巡ると、サメの水揚げ日本一を誇る気仙沼だけあって、とにかくフカヒレ推し! フカヒレ茶、姿煮、乾物、かまぼこ、活揚げ、パイ菓子などなど、これでもか! というほどフカヒレ関連商品がある。なんと、併設の食堂には、サメの肉を使ったハンバーガーまであった。フカヒレ=高級食材という印象しかなかったけど、こんなに何にでも活用できるとは!

 そして、ありました! モウカの星、の解説が。でも、肝心のモウカの星が置いていない。店員さんに聞いてみると「3連休の最終日で、船が出てないからね(その日は11月23日だった)。明日、水揚げされれば届くと思うけど……」とのことだった。
 ですよね。実は数日前、気仙沼市魚市場に電話をしてモウカの星の入荷状況を確認したところ、同じように言われていたのだ。


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未知の細道 No.58

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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