未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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おれを鍋にまぜてくれないかい?

“鍋の日”に起きた南部町の奇跡

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.57 |20 December 2015 この記事をはじめから読む

#2鍋で町を活性化!?

2014年に登場した鍋条例キャラクター「なべまる」。着ぐるみもあり、町のイベントで活躍しているそう

 その情報を目にしたのは、偶然だった。ある日、ツイッターをぼんやりと眺めていたら「青森県南部町は、平成24年9月に鍋条例を制定。家族や仲間のコミュニケーションを深めるために、毎月22日に鍋を食べるように推奨」という内容のツイートがあったのだ。
 何これ? 気になる!
 検索してみると、すぐに南部町のホームページが引っかかった。鍋条例制定の目的について「笑顔あふれる家庭となり子どもの健全育成及び仲間意識を醸成し、町の活性化に寄与する」と大真面目に記してあるのだが、なぜ22日なのかという説明を読んで脱力した。

「毎月22日(フーフー言いながら食べることの語呂合わせ)を【鍋の日】と定める」
――「さて、鍋条例の件ですが、ここは皆さん、お鍋をフーフーということで、22日でいかがしょう?」「さすが南部町のダジャレ王の○○さん、今日もキレッキレですな!」「よ! 鍋奉行!」「それじゃ早速、今夜、フーフーしますか!」「いやいや、君と夫婦になるのはごめんだな。フーフーだけに!」「こりゃ、ちくわ一本取られました!」――なんてやり取りが町議会であったのではないかと妄想して、勝手に親近感がわいた。
 そして、ふと思った。
 鍋条例が定められたのは、2012年。3年経ったいまも、住民は鍋の日に鍋を囲んでいるのだろうか? もしそうなら、僕も混ぜてほしい。南部町の活性化に貢献したい!


未知の細道 No.57

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

南部町(2日間)

予算の目安 2万円~

最寄りのICから八戸自動車道「南郷IC」を下車
1日目
新幹線で八戸へ。駅ビルに入っている食事処が美味! レンタカーで南部町へ。
こだわりのカフェ「ケクー・カフェ」で休憩したら、屋内スケートリンク「ふくちアイスアリーナ」でアイススケート!
食事は、郷土料理「ひっつみ鍋」、「せんべい汁」がおススメ!
2日目
農産物の直売所を巡る。激安のうえ、見たこともないような農産物あるのでテンションが上がる。
お土産には食用菊をぜひ!
暖かい季節には、オートキャンプ場もあるアスレチック施設「名川チェリリン村」へGO!

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。