1泊2日で下仁田町を巡って強く感じたのは、掘れば掘るほど面白い話が出てくるということ。確かに、PR動画の歌詞の通り「歩いてる人もまばら……」だし、「岩と山に囲まれた、取り残されたような町並み」だけど、「ねぎとこんにゃく以外、なにもない町」では全くなかった。
明治期から昭和にかけて、栄華を誇ったこんにゃく大臣を中心に作られた町の文化がいまも脈々と受け継がれている。時代の流れの中で表面的には見えづらくなっているけど、舞台裏をのぞくようにちょっと足を踏み入れたら、意外に簡単に触れることができた。
しかもそれは、「全国で唯一、地域おこし協力隊が働いている飲食店」だったり、日本最古の牧場だったり、フレンチのコースを出す町の食堂だったり、高さ20メートルの「日本一のだいこく様」だったり、昔ながら手法を守り続ける老舗のお菓子屋さんだったり、どれもなかなかにインパクトがあった。全国の地方を探しても、狭い範囲でこんなに個性溢れる人や店が集う町はなかなかないと思う。
下仁田町は、「なにもない町」じゃない。
僕の中で替え歌ができた。
「下仁田、オオオオ、下仁田、オオオオ、ほかにない町♪」
川内イオ