未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
72

投げて、祈って、抱きしめて!

神の島・金華山で金運開運奮闘記!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.72 |10 August 2016
この記事をはじめから読む

#3売り文句に苦労しない金華山

標高445メートルの金華山の山頂

 金華山の存在を知ったのは、偶然だった。どこか離島にでも行きたいなあとググっていたら、黄金山神社の情報が出てきたのだ。
 その時まで、金華山のことも、黄金山神社のことも知らなかった僕は、調べて驚いた。
 島と神社の由来と概要を要約しよう。

「天平21年(西暦749年)に、陸奥の国守百済王敬福が、金華山で取れた黄金を朝廷に献上した。これが日本で初めて取れた金で、大仏建立に黄金を必要としていた聖武天皇は大いに喜び、年号を天平勝宝と改めた。
 天平勝宝2年(750年)、金華山に金銀財宝を司る神様、金山毘古神 (かなやまひこのかみ)・ 金山毘賣神 (かなやまひめのかみ)を奉祀し、黄金山神社が創建された。神仏習合の古来より、仏教の神様である弁財天 (べんざいてん)を守護神とし、江ノ島・厳島・竹生島・天河とともに、日本五大弁財天の霊地ともされ、「3年続けてお詣りすれば、一生お金に不自由しない」と言われる。
 島全体が神域として信仰の対象であり、創建以来、長らく修験者の修行の場であった。東北の三大霊場 (出羽三山・恐山・金華山)のひとつであり、東北屈指のパワースポットとして多くの参拝客が訪れる」

「日本で初めて金が取れた土地」というのは諸説あるらしいけど、それにしても、とんでもなくインパクトのある島だ。

 1266年前に創建の黄金山神社!
 日本五大弁財天の霊地!
 東北の三大霊場!
 島全体が神域!
 一生お金に不自由しない!

 もし金華山のテレビCMがあったら、売り文句に苦労しない。
 こんな離島が、ほかにあるだろうか? しかも、黄金山神社のホームページを見たら、神社に宿泊して、平安時代から続く「大護摩祈祷」を受けられると書いてある。護摩祈祷とは、弘法大師により伝えられた真言密教の秘法。要するに仏様に祈るものなのに、神社で護摩祈祷を受けられるなんて、文句なしの激レア体験だ。
 これは、珍しもの好きの血が騒ぐ! ということで、都内から1泊2日、片道6時間という強行軍で金華山を訪ねたのである。

このエントリーをはてなブックマークに追加


未知の細道 No.72

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。