「夢の家」体験記は以上である。
最後に余談となるが、越後妻有には、大地の芸術祭が生んだ「泊まれるアート」作品が他にもあるので、一部だけだが紹介したい。
「脱皮する家」。棚田で有名な星峠集落にあり、その名の通り、床、壁、柱などあるとあらゆるところが彫刻刀で彫られた不思議な家だ。古民家が持つどっしりと温かな雰囲気と、述べ三千人が関わったという狂気じみた手仕事に感動する。
光のアーティスト、ジェームズ・タレルが設計した「光の館」。瞑想するための家で、伝統的な日本家屋でありながら、空が見える巨大な天窓と精密にLEDによるインスタレーションが宿泊客を別世界へと誘う。その極上とも言える宿泊体験は、「夢の家」の対局かもしれない。
今年から宿泊もスタートした「オーストラリア・ハウス」。独特の三角形のフォルムの建築物が美しい。中には、家と一体化した大掛かりな作品があって、宿泊客はいつでも作品を操作し、楽しむことができる。
「三省ハウス」。廃校を利用したドミトリー形式の宿で、展示室や売店、体育館、食堂などもあって、ワイワイとグループで過ごしたり、他の宿泊客との交流が楽しそうだ。すぐ横の教室や廊下で、多数の作品の展示が行われているのも魅力だろう。
上記は、「夢の家」とは違い、どこもぐっすりと安眠できそうだ(各宿泊施設の詳細はこちら )。どこに泊まるにせよ、この世に二つとない独特の特別な体験が待っている。さあ、いざ、越後妻有へ。
川内 有緒