何人かの参加者の支持を得て、この日は「嘘と本当ってなんだろう?」というテーマに決まった。日々、嘘と本当をどうジャッジするのか、しているのか、という内容だ。
考えてみると、まず「嘘ってなに?」という疑問がわく。例えば、子どもが親につく嘘、親が子どもにつく嘘など身近な人間関係の間の罪のない嘘と、企業や政治が市民を騙すための嘘(産地偽装、隠蔽、虚偽答弁など)、犯罪を犯したか、犯していないかという人生にかかわる嘘など嘘にもいろいろなグラデーションがある。今回はどういう嘘と限定しなかったので、幅広い分野で「嘘と本当」の話になった。その会話の一部を紹介する。
「父親を亡くした子どもに、母親が『お父さんは遠くに行ってしまった』と説明したとして、それも、嘘なのか? 人を幸せにできる嘘もあるのでは?」という話に対して、「嘘は真実に反するから最終的に幸せには寄与しない」という意見があった。
「人間はそもそも正しくものごとを把握しているのか?」という疑問に対して、「感覚だけでは難しい。感覚と知性を掛け合わせることで、真実に迫ることはできる。嘘はそもそも本当のことがないと存在できない」というやり取りがあった。
「なにをもって真実とするか、科学的にも判断するのは難しい」という意見に対して「科学は所定の手続きを経て、導き出されたものだから尊重すべき」という話もあった。
具体的に「学校という現場でお金を盗った、盗られた」という場面を想定して「学校は教育の場で、刑事のように嘘と本当を明らかにする必要があるのか? お金がなくなったなら犯人捜しではなく、そうならないように教育をする方が大切だろう」という意見もあった。
川内イオ