次は、南米の大河アマゾン、ペルーからブラジルの河口までの6000キロをイカダで下るという大計画を思いつく。
次はアマゾン!? と家族は仰天。
家族会議が開かれ、大場さんはついに実家から勘当された。
大場さんは帰るべき家と故郷を失った。
とても寂しかったが、もう後ろは振り向かなかった。
アマゾンに出発する直前、大場さんは鷹匠の師匠「じっちゃん」を訪ねた。すると、じっちゃんは、「道 迷わず進め、正直に道」と色紙に書いて、送り出してくれた。
こうして、大場さんの冒険人生が始まったのだ。
自作のイカダの上に小さな小屋を立て、バナナなどの食料をたくさん積み込んで日夜アマゾン河を下った。真夜中にイカダが川岸にぶつかりそうになっていることに気がついて、闇の中であわてて進路を変更したことも度々あった。
「すごい大冒険ですね」
わたしが驚嘆すると、「いやあ、俺の場合、みんなが助けてくれるんだよ! ブラジルに農業移民で入っていた人に助けられたり」と、別にたいしたことなかったという雰囲気で答えた。
「ねえ、大場さんって、絶対楽天的な性格ですね」
「そうだね、それもあるかもしれない。嫌いなことはやりたくないんだけど。サラリーマンはできないね! だって昼寝できないじゃん」
「昼寝って、けっこうするんですか?」
「うん、昼寝は大事だよー」
私たちはそんな話をしながら、最上町に入った。
川内 有緒