千葉県市原市
千葉県市原市に、世界的に非常に珍しい地層があるという。この地層「千葉セクション」の秘密と、房総半島特有の地質を学びながら、市原の里山をハイキングする。
最寄りのICから【C4】圏央道「市原鶴舞」を下車
最寄りのICから【C4】圏央道「市原鶴舞」を下車
昨年の11月以来、千葉県市原市に、世界の地質学関係者たちからの熱い視線が注がれている。市原市田淵地区の養老川にある77万年前の地層、通称「千葉セクション」だ。
地球の46億年の歴史は、生物の絶滅などその時の特徴的な現象を捉えながら時代区分がなされ、その境界として最も明確にその痕跡が残る場所は「国際標準模式地」(GSSP)として認定されている。これまで世界で約60か所が認定されているが、日本にはまだない。
「千葉セクション」には、今から77万年前の更新世の前期と中期の境目にあたる地層がある。この時代のものとわかる地層はここ以外では、イタリアの2ヶ所しかない。そして現在この地層が、国際地質科学連合によってGSSPになるかどうか審査されている真っ最中なのだ! 4つある審査のひとつめを昨年末に通過した「千葉セクション」。もし正式にGSSPとして認定されれば、この地質時代区分の名称が千葉時代という意味の「チバニアン」と呼ばれることになるかもしれないのだ。
これは、今のうちに見ておかないと! そう思った私は、すでに市原に何度も訪れてこの地層を観察している地質や河川の専門家たち、そして専門家と一緒に地形を巡るのが好きな人たちの総勢7人のグループと一緒に、養老渓谷の地層を巡ってみることしたのだった。
市原といえば、養老渓谷ともうひとつ、忘れてはならない名物がある。五井駅から上総中野駅までをつなぎ、その間ののどかな里山を走るローカル鉄道、小湊鐵道だ。赤が基調のかわいらしい列車、車窓から見える里山の風景、その間に点在するレトロな駅舎。そして桜、菜の花、アジサイ、ススキなど沿線を彩る季節の花々。これらを愛する鉄道ファンは多い。そして昨年末以降は、地層を見にくる観光客も多く乗車している。
里山の風景をゆっくり眺めるために、今回は始発の五井駅から、田淵地区の玄関口、月崎駅まで小湊鉄道に乗って、そこから「千葉セクション」までをハイキングすることにした。五井駅では小湊鐵道の石川晋平社長が、私たちが待っていてくれた。
松本美枝子