五井駅を出発してから1時間ほどして、地層がある田淵地区の玄関口、月崎駅に着いた。駅を降りると、すぐ目の前に木村崇人さんというアーティストが制作した『森ラジオ ステーション×森遊会』という大きな作品がある。小湊鐵道の保線員の詰所だった小屋に60種類の山野草と苔を植えた、まるで小屋全体が生き物のような作品だ。内部には市原の里山などから集音した環境音が聴けるラジオなどが設置されている。
この作品は市原市が開催した『中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス2014』という芸術祭で制作されたものだ。制作には地元の人たちも参加した。こういった芸術祭で作られる野外作品は、期間限定のものが多い。しかし『森ラジオ ステーション×森遊会』に愛着があった地元の人々の強い要望で、この作品は芸術祭終了後も残ることになった。さらに作品の保存会である「森遊会」を立ち上げ、今でも地元の人と木村さんは交流を続けながら、作品を管理しているのだという。
森ラジオ ステーション×森遊会の中で森遊会の芹沢さんにお話を聞くことにした。植物を育てるのが好きで、木村さんの制作の手伝いを始めたという芹沢さん。「森ラジオ ステーション×森遊会ができてから、この駅に降りる人がとても増えました」という。
里見駅で買ったおいしいお弁当を食べながら芹沢さんとお話していると、市原市役所の鈴木昌武さんと忍澤成視さんがやってきた。今日のメイン、養老川の地層「千葉セクション」をこれから案内してもらうのだ。
松本美枝子