未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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77万年前の地磁気逆転地層を目指して!

養老川と地層を巡る

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.117 |10 JULY 2018
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#4月崎駅の森ラジオ

 五井駅を出発してから1時間ほどして、地層がある田淵地区の玄関口、月崎駅に着いた。駅を降りると、すぐ目の前に木村崇人さんというアーティストが制作した『森ラジオ ステーション×森遊会』という大きな作品がある。小湊鐵道の保線員の詰所だった小屋に60種類の山野草と苔を植えた、まるで小屋全体が生き物のような作品だ。内部には市原の里山などから集音した環境音が聴けるラジオなどが設置されている。
 この作品は市原市が開催した『中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス2014』という芸術祭で制作されたものだ。制作には地元の人たちも参加した。こういった芸術祭で作られる野外作品は、期間限定のものが多い。しかし『森ラジオ ステーション×森遊会』に愛着があった地元の人々の強い要望で、この作品は芸術祭終了後も残ることになった。さらに作品の保存会である「森遊会」を立ち上げ、今でも地元の人と木村さんは交流を続けながら、作品を管理しているのだという。

ここに来る観光客の人との会話も楽しい、と語る芹沢さん。

 森ラジオ ステーション×森遊会の中で森遊会の芹沢さんにお話を聞くことにした。植物を育てるのが好きで、木村さんの制作の手伝いを始めたという芹沢さん。「森ラジオ ステーション×森遊会ができてから、この駅に降りる人がとても増えました」という。

 里見駅で買ったおいしいお弁当を食べながら芹沢さんとお話していると、市原市役所の鈴木昌武さんと忍澤成視さんがやってきた。今日のメイン、養老川の地層「千葉セクション」をこれから案内してもらうのだ。

市原市役所総務部長の鈴木さん(左から3人目)と市の教育員会で地層を担当している忍澤さんと一緒に(同5人目)。
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未知の細道 No.117

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。