未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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77万年前の地磁気逆転地層を目指して!

養老川と地層を巡る

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.117 |10 JULY 2018
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#3里山をゆく!

 そろそろ9時25分発の列車の時刻が迫ってきた。石川社長と鉄道部の黒川さんに見送られながら、いよいよ五井駅を出発!

 今回の旅は河川や地質の専門家たちが一緒だ。特に地質の専門家である大里さんと坂元さんは、数年前から「千葉セクション」を見学しているという。列車の中でハイキングの準備をしつつ、地層について、いろいろと教えてもらう。
 途中、数分間ほど停車する里見駅のホームで、事前に予約していたお弁当を受け取る。小湊鐵道では、こうして途中駅のホームでお弁当を買うのを楽しみにしているお客さんも多い。

 さらにこの駅ではもう一つ、珍しいものが見られる。「タブレット交換」である。タブレットとは、要するに通行手形のようなもので、単線の小湊鉄道で車両同士が衝突しないように運行するための大切なものだ。輪っかのようなケースに通券などが入っているものをまとめて「タブレット」と呼んでいる。閉塞区間(すれ違いが出来ない区間)に、ひとつしか存在しないので、それを持つ車両は安心して運行できる。里見駅と上総牛久駅では、このタブレットの交換があるのだ。
 ホームにはタブレット交換を撮影しようと待ち構えるお客さんがたくさんいた。私も慌ててホームに降りてパチリ!

これが全国でも珍しい「タブレット交換」だ!
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未知の細道 No.117

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。