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第14回 北海道 高速道路の四季フォトコンテスト結果発表
テーマ
1、「高速道路のある風景」部門
“NEXCO東日本北海道支社が管理する高速道路やSA・PAが風景の一部となっている写真”、“高速道路やSA・PAの利用時に楽しんでいる様子を撮影した写真”
2、「北海道の四季」部門
“春夏秋冬それぞれの北海道らしさを感じる写真”
募集期間
2023年8月1日(火)~12月31日(日)
(いずれの部も2022年1月1日以降に撮影したものに限ります)
全国各地の北海道を愛する写真家の皆さまから多数の素晴らしい作品をお寄せいただきました。
ご応募いただきましたみなさま、誠にありがとうございました。
厳正な審査の結果、下記のとおり、13点の入賞作品を決定しました。
入賞者のみなさま、おめでとうございます。
講評
【審査員 北海道教育大学 芸術・スポーツ文化学科 教授 伊藤隆介】
第14回を迎えた「北海道高速道路の四季フォトコンテスト」に、今回も全道各地、また北海道外から総数560の優れた作品の応募をいただきました。
長かった新型コロナウィルス感染防止の期間もようやく終わりが見え、いよいよ全道各地に飛び出した皆さんの一年間を、視覚的に楽しく体験させていただきました。
「高速道路のある風景」部門では、「北海道の四季」部門を凌ごうというレベルの芸術性、趣向や工夫を凝らした力作が集まりました。
高速道路という被写体から造形的な魅力やストーリー性を引き出すために、季節感を盛り込める背景探し、様々な撮影技術、撮影データのデジタル現像の実験など、多くの努力がなされている印象です。
今回、そうした秀作群から受賞したのは、高速道路をロマンチックに扱った作品たちでした。最優秀賞は、久野穣さんの『銀河に抱かれて』です。長時間露光を使い、大地を横切る道央道、上空に広がる満天の星を、ポエティックにマッチングさせています。左右に展開する高速道路、そこを疾走するカーライトの軌跡と、縦に広がるミルキーウェイの接点は、人間の時間と悠久な自然の流れを彷彿させ、哲学的に映りました。優秀賞の『ハイウェイ』(神保吉数さん)では、高速道路を仰ぎ見る構図で遠近感を強調しています。本来はハードエッジに描かれるはずのコンクリートの構造物が、もやなどの大気の層、被写界深度の浅さ(=ソフトフォーカス)などによって不鮮明に表現され、遺跡や神殿のような神秘性を獲得していることが面白い作品でした。
激戦の「北海道の四季」部門の最優秀賞は、文句なく朝倉拓雄さんの『苗植え』です。春の農作業をほぼシンメトリー(左右対称)で捉えた絵画的な作品です。作品の下半分に広がる、畑の畝(うね)が「八の字」に見える一点透視法の空間に対し、上半分は羊蹄山の輪郭、そして山頂の残雪が同じように「八の字」に見えるという視覚的な韻(いん)に気持ちよさがあります。同時に、山の位置が微妙に左に寄っていたり、残雪の形が不揃いであったりと、構図の楽しさもあります。日本画の巨匠・片岡球子画伯(北海道出身)の描く富士山とも共通の、ダイナミックな風格も得ていると思います。
各季節賞には、名勝が並びました。美瑛、富良野といった地域は、毎回多くの応募が寄せられる定番スポットです。フォトジェニックな“青い池”、“マイルドセブンの丘”など、誰でも労なく魅力的な写真が撮れてしまう理由は、多分に地域の方々の巧みな造成、演出されたランドスケープの成功であり、技術的に「上手い写真」というだけでは、表現者のオリジナリティを主張するのが難しい対象でもあります。今回の受賞作は、撮影地の季節の魅力を真正面から捉すなわち「感動」をストレートに伝えるような作品でした。春賞の 『十勝岳遠望』(中村敏郎さん)は花の香りがむせかえるような季節の豊かさ、夏賞の 『上昇気流』(柳澤一男さん)はシャープな光や空気感、秋賞の 『初秋のオンネトー』(川井公文さん)では静寂さと神秘性、冬賞の『虹へ向かう』(山中勇さん)では荘厳さと雄大さ。平原、海、岸壁、山、湖、高地というロケーションの多様さ、並べて眺めれば際立つ季節の色彩の違いなど、改めて北海道の自然の様々な顔を堪能させてくれる体験でした。
その一方で、北海道の「四季」とは決して四つの季節だけのことではなく、その変わり目に広がる複雑で美しい光景を、観察眼や造形的センスですくい取った作品もありました。「共通賞」を受賞した『霧晴れて』(テルさん)が捉えた、秋でありながら風に凍る植物の広がる高地の様は、まさに想像力を超えた絶景でした。同じく「共通賞」の『釣り人たちの朝』(桧枝広美さん)は、ゴージャスな朝焼けに立つ人々のシルエットに物語を連想させると同時に、どこかストーンヘンジなどを思わせるなど、連想を幾重にも誘う作品でした。
年々レベルアップするコンテストで、ある傾向も見受けられました。
応募作品の多くは、もちろん季節の風景です。横位置に伸びる自然や、高速道路などをファインダーに収めるため、映画で言う「ロング(全景ショット)」、あるいはパノラマ的に鳥瞰するような視点になりがちです。動きを感じさせる被写体は小さくなり、全体に静的な作品になりがちです。そういった中で、立体感や空間感に富んだ作品というのは、かなり目立ち、魅力的に映るものでした。
代表的な作品は、「高速道路のある風景」部門で優秀賞を受賞した『走れ!キンタロー!』(堀内厚公子さん)です。サービスエリアのアトラクションを、シンプルに、どちらかと言えば素朴に捉えた作品と言えますが、広角レンズによるパースの力強さは、端正な作品群の中では無類の迫力がありました。共通賞の『ヤッホー!羊蹄山』(hanahimaさん)も、羊蹄山を眺望する定番の舞台ながら、前景に子どもたちを配することによって、構図的にも物語的にも雄大さを演出することに成功しています。同様に、前述した共通賞の『霧晴れて』も、樹氷の前景と背景の山々のサイズのコントラストが、動きや臨場感を醸成しているのは印象的でした。
次回(第15回)の公募では、新たな試みとして「高速道路のある風景 inインスタグラム部門」が開始されることになりました。三脚を準備して臨む本格的な撮影ともまた違う、ライブ的な魅力のある作品のご応募を楽しみにしたいと思います。
インバウンド増加に象徴されるように、ますます各地が元気な一年になりそうです。第15回コンテストも、「北海道高速道路の四季」の多様さをますます発見する旅と感性、新たなボキャブラリーを期待します。
過去のフォトコンテスト結果
- 第1回結果
- 第2回春夏結果
- 第2回秋冬結果
- 第3回春夏結果
- 第3回秋冬結果
- 第4回春夏結果
- 第4回秋冬結果
- 第5回春夏結果
- 第5回秋冬結果
- 第6回結果
- 第7回結果
- 第8回結果
- 第9回結果
- 第10回結果
- 第11回結果
- 第12回結果
- 第13回結果
- 第14回結果
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