未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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将棋ブーム「将棋の街」は今

将棋駒の生まれる街

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.98 |10 September 2017
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#3特産品は買っておかなくちゃ

あの片岡愛之助さんがお気に入りだという煎餅。あまじょっぱい味が癖になる。

 資料館へ向かう途中、隣にある物産館が気になって覗き込む。特産品を集めた店内の一角には将棋駒グッズがズラリと並び、改めて「将棋の街、天童」と感じずにはいられない。

 私には買っておきたいお土産があった。ボランティアガイドの佐藤さんにオススメされた蕎麦と煎餅だ。織田藩が将軍に献上していたという「寒中挽き抜きそば」通称、献上蕎麦は、1月の寒い中で製粉したそば粉で打ったという当時の蕎麦を再現したもの。目立つところに大量に積んであった。献上そばの他にも、たくさんの種類の蕎麦が置いてあり、天童は蕎麦でも有名な地域であることがわかる。

 それから煎餅のほうは「名前は忘れたが、片岡愛之助さんがお気に入りの煎餅がある」という佐藤さんの情報だけを頼りに売店のお姉さんに聞いてみる。するとすぐに案内してくれたのが「やみつきしみかりせん」という、硬そうな煎餅が山盛りになった売り場だった。さぞ美味しいだろうな、と期待に胸を膨らませて大量に買い込む。

天童市観光物産のキャラクター「こま八」。

 これから街を歩き回るというのに、大きな袋をぶら下げることになってしまった。マスコットキャラクターの「こま八」に見送られて物産館を出た。

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未知の細道 No.98

ウィルソン麻菜

1990年東京都生まれ。学生時代に国際協力を専攻し、児童労働撤廃を掲げるNPO法人での啓発担当インターンとしてワークショップなどを担当。アメリカ留学、インド一人旅などを経験したのち就職。製造業の会社で、日本のものづくりにこだわりを持つ職人の姿勢に感動する。「買う人が、もっと作る人に思いを寄せる世の中にしたい」と考え、現在は野菜販売の仕事をしながら作り手にインタビューをして発信している。刺繍と着物、野菜、そしてインドが好き。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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