資料館へ向かう途中、隣にある物産館が気になって覗き込む。特産品を集めた店内の一角には将棋駒グッズがズラリと並び、改めて「将棋の街、天童」と感じずにはいられない。
私には買っておきたいお土産があった。ボランティアガイドの佐藤さんにオススメされた蕎麦と煎餅だ。織田藩が将軍に献上していたという「寒中挽き抜きそば」通称、献上蕎麦は、1月の寒い中で製粉したそば粉で打ったという当時の蕎麦を再現したもの。目立つところに大量に積んであった。献上そばの他にも、たくさんの種類の蕎麦が置いてあり、天童は蕎麦でも有名な地域であることがわかる。
それから煎餅のほうは「名前は忘れたが、片岡愛之助さんがお気に入りの煎餅がある」という佐藤さんの情報だけを頼りに売店のお姉さんに聞いてみる。するとすぐに案内してくれたのが「やみつきしみかりせん」という、硬そうな煎餅が山盛りになった売り場だった。さぞ美味しいだろうな、と期待に胸を膨らませて大量に買い込む。
これから街を歩き回るというのに、大きな袋をぶら下げることになってしまった。マスコットキャラクターの「こま八」に見送られて物産館を出た。
ウィルソン麻菜