未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
98

山形県天童市

将棋は日本伝統のボードゲーム。その長い歴史の中で「将棋の街」と呼ばれるようになったのが、山形県天童市だ。街を歩けば、将棋、将棋、ときどきお蕎麦……。将棋駒職人を訪ねて、いざ「将棋の街」へ。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.98 |10 September 2017
  • 名人
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山形県天童市

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#1将棋の街を訪ねて

天童駅。映画『3月のライオン』のポスターが大きく貼ってあった。

「空前の将棋ブーム!」らしい。私は頭を使うゲームがどうもダメで、オセロや囲碁、チェスなども苦手だ。「こんな感じかな……」と進めていると、気付いたら負けている。

 そんな私でも、将棋の話題を目にしない日はないくらい、最近は将棋が脚光を浴びている。その大きな理由はふたつ。

 ひとつは今年の3月に公開された映画『3月のライオン』。羽海野チカさんの漫画を、神木隆之介さん主演で実写化したものだ。若き棋士の葛藤と成長を描いた原作の人気もさることながら、映画の評判もかなりいい。今まで将棋に興味がなかった人たちにも、漫画や映画をきっかけに将棋自体が身近なものになっているようだ。

 そしてもうひとつは、最年少連勝記録で話題をさらった藤井聡太四段である。14歳の中学生棋士として現れ、29連勝という最多連勝記録を作り上げた。「AI時代の申し子」と呼ばれ、歴代の棋士たちに勝利していく彼の活躍を見て、子どもも親も将棋駒を買いに走っているという。

 そこで嬉しい悲鳴をあげているのが、山形県天童市。日本一の将棋駒生産量を誇る天童市では、この将棋ブームの影響をかなり受けているらしい。この突然の将棋ブームを、将棋駒を作る人たちはどう感じているのだろう。私は早速「将棋の街」へ向かった。

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未知の細道 No.98

ウィルソン麻菜

1990年東京都生まれ。学生時代に国際協力を専攻し、児童労働撤廃を掲げるNPO法人での啓発担当インターンとしてワークショップなどを担当。アメリカ留学、インド一人旅などを経験したのち就職。製造業の会社で、日本のものづくりにこだわりを持つ職人の姿勢に感動する。「買う人が、もっと作る人に思いを寄せる世の中にしたい」と考え、現在は野菜販売の仕事をしながら作り手にインタビューをして発信している。刺繍と着物、野菜、そしてインドが好き。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。