未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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~ダムの聖地・みなかみ~

〝やぎなら〟ダム 大迫力の点検放流を見に行く!

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.92 |10 June 2017
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#3ダムマニアのカリスマ

素敵な手紙をくれたホテルサンバードのフロント係、石塚未希さん

藤原ダムを見て我々は一度ホテルに帰ることにした。三橋さんとチーム「スリバチ」のみんなも同じホテルだ。
 フロントでチェックインすると、なんと受付の人は偶然にも、手紙の主、石塚さんだった。名前を告げると石塚さんもパッと笑顔になった。自分が電話を受け付けて手紙を書いたお客さんの名前を、石塚さんはちゃんと覚えているんだ! と私は嬉しくなった。

 私が石塚さんにお手紙ありがとうございます、こんなのもらったの初めてだったから嬉しかったです、というと石塚さんはさらに笑顔になった。
 石塚さんは「手紙は自分が好きで考えて書いているんです、それにお客さんが喜んでくれて、石塚さんに会いたかったと言って来てくれることもあるんですよ」とにこやかに話してくれた。
 マニュアルではないということが意外でもあったが、文面を思い出すと決まりきったサービスとは一味違った印象だったことが蘇ってきて、なんだかほっとしたのであった。

 さて夕食前に「ダムマニア」こと宮島咲さんのトークがあるという。このイベントも今回の宿泊プランの特典のひとつだ。宮島さんの話を聞くために、ホテルの一階の広間には宿泊客がたくさん集まっていた。宮島さんはダムについての紹介サイト「ダムマニア」やガイドブックを手がけており、テレビ出演も多い、ダムマニアたちのカリスマ的存在だ。

 ホテルのスタッフ、高草木徳行さんの司会で宮島さんのトークが始まった。宮島さんはダムや点検放流の見どころについて、とてもわかりやすく説明してくれるのだが、それ以上にところどころにギャグが入っていて、会場は爆笑に次ぐ爆笑であった。

ダムマニアのカリスマ、宮島咲さんの抱腹絶倒のトークのようす
ホテルでは宮島さんの著書(右)などダム関係の本が閲覧できる。左は人気漫画家・井上よしひささんの「ダムマンガ」。
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未知の細道 No.92

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。