未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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日本陶磁器・発祥の地 有田町に暮らす人々(前編)

陶磁器の町を支える職人さん お隣り同士の生地屋と型屋

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.85 |25 February 2017
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#5生地屋ってなんだ?

磁器の材料となる陶土。私はこれを「生地」だと思い込んでいたのだが……

 そんなある日。深江さんと佐々木さんと一緒に「生地屋さん」に行くことになった。

 有田焼は細分化された分業制の上に成り立つ産業である。有田焼といえば有名な窯元(陶磁器を窯で焼いて作り出す所。現在の有田では焼き物の製造会社を指すことが多い)や、美しい絵付けの器をイメージするかもしれないが、「生地屋」もまた、有田焼の分業制を支える大事な職業の一つなのだ。藤さんという、すばらしい技術を持った生地屋さんがいるから、そこを見に行きましょう! と深江さんは熱く語ってくれたのだが、生地屋の仕事について説明を聞いても、なんとなくピンとこない。というか、はっきり言ってよくわからなかった。

 一般的に「生地」というと布のことや、ケーキなどお菓子の焼く前の状態のものを指すことが多い。うーむ、つまり「生地」ってことは、焼き物の素材となる陶土を作っているとこなのかな? と私はぼんやり思っていたのだったが、実際、生地屋さんについてみると、その想像が大幅に間違っていることを知ることとなるのだ。


未知の細道 No.85

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

有田町で職人の技&焼き物を見る旅2泊3日

予算の目安2万円〜

最寄りのICから九州自動車道「波佐見有田IC」を下車
1日目
有田町・内山地区で、有田焼の商店などを散策。休憩は
アリタポーセリンラボ旗艦店 で。モダンな有田焼が展示販売されている店内に、カフェが併設。
2日目
「藤生地」「山辰整型所」で職人技を見学。
詳しくは有田町役場商工観光課(tel.0955-46-2500)まで。
ランチは、有田駅前の
複合観光施設キルンアリタ
で。山辰さんが型を手がけた磁器製のガチャガチャも展示販売中!
3日目
引き続き、内山地区を散策、「泉山磁石場」「トンバイ塀」などを見学。まちづくりの拠点
まちのオフィス・春陽堂
には地域おこし協力隊の佐々木さんたちが常駐しているので、立ち寄ってみよう!
ランチは古民家を改装したカフェ&ショップ、
Fountain Mountain
へ。内山地区での宿泊は、
ゲストハウス・ケラミック有田
がおすすめ!

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。