さてその有田町、私は実は今まで行ったことがなく、学生時代、美術史を勉強してきた身としては、そして写真家としても、一度は行ってみたい憧れの土地の一つであった。
そんな私に昨年末、あるとんでもない朗報が舞い込んできたのである。それは「佐賀県有田町に1ヶ月住んで、写真作品を制作、町でその作品を展示してください」という佐賀県と有田町からの仕事の依頼だった。焼き物の本場をぜひ訪れてみたい、と思っていたものとしては、それは夢のような依頼である。
え? 1ヶ月、え、そんなに有田に住んでいいの? はいはい、もちろん、行きます。やりまーす! と私は二つ返事で、この滞在制作の仕事を引き受けたのだった。
松本美枝子