未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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日本陶磁器・発祥の地 有田町に暮らす人々(前編)

陶磁器の町を支える職人さん お隣り同士の生地屋と型屋

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.85 |25 February 2017
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#2憧れの町、有田へ

丘の上から有田の町を眺める

 さてその有田町、私は実は今まで行ったことがなく、学生時代、美術史を勉強してきた身としては、そして写真家としても、一度は行ってみたい憧れの土地の一つであった。

 そんな私に昨年末、あるとんでもない朗報が舞い込んできたのである。それは「佐賀県有田町に1ヶ月住んで、写真作品を制作、町でその作品を展示してください」という佐賀県と有田町からの仕事の依頼だった。焼き物の本場をぜひ訪れてみたい、と思っていたものとしては、それは夢のような依頼である。

 え? 1ヶ月、え、そんなに有田に住んでいいの? はいはい、もちろん、行きます。やりまーす! と私は二つ返事で、この滞在制作の仕事を引き受けたのだった。

有田ならではのトンバイ塀(耐火煉瓦の廃材などで作られた塀)が続く道
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未知の細道 No.85

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。