未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
85

佐賀県有田町

日本陶磁器の発祥の地、佐賀県有田町。誰もが知っているこの町の、輝かしい技術と歴史の中で、実は知られていない部分にスポットを当てていく。有田焼は「分業制」が整っていて、陶磁器に関する様々なプロフェッショナルが細分化されている。有田町とは、焼き物の一つの大きな工場のようなものだと思ってもらうといいかもしれない。今回はその中でも、「生地屋」と「型屋」という一般の人には知られていない特殊な裏方の職人たちに注目する。

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.85 |25 February 2017
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東京都

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#1日本陶磁器の発祥の地

窯元に伝わる江戸時代の器

四方を山に囲まれた静かな町。この町に入ると、それまで続いていたよくある地方の郊外の風景が一変して、タイムスリップしたかのような古い街並みの中に、レンガの煙突が立ち並ぶのを見ることができるだろう。そう、ここが日本陶磁器の発祥の地、佐賀県西松浦郡有田町だ。

「有田焼」と言えば、あなたは、白くて薄い器の肌に描かれた、絢爛豪華な色とりどりの絵付の器を思い浮かべるかもしれない。あるいは初期伊万里(江戸時代、有田焼は隣接する伊万里の港から、世界各地へと輸出されたことから、江戸時代の有田焼のことを古伊万里とも呼ぶ。初期伊万里とは有田焼の初期作風のこと。)の染付(白地に藍一色で絵付けされていること)のシンプルな美しさを思い浮かべるのかもしれない。

そして有田焼が、江戸時代には鍋島藩の産業として日本各地に、いやドイツやフランスなどヨーロッパの王侯貴族にも珍重され輸出された日本が誇る伝統工芸品であることは、誰もがご存知のとおりだろう。

ここ有田町はそれまで磁器を作る技術がなかったこの国に、400年前に豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに鍋島軍に捕らえられて連れてこられた韓国の陶工たちが、その技術を日本へと根付かせた場所であり、長らく、日本産の磁器を生み出すことができた唯一の場所だったのだ。そしてこの町の製磁技術の高さ、生み出されるものの美しさは、400年経った今もなお、格別な場所なのである。

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未知の細道 No.85

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。