「未知の絶景を探すなら、舗装されていない道を行くしかないんじゃない?」とあるチャリダーさんから言われた言葉。その通りだと思った。誰も足を踏み入れない山奥には、誰も知らない絶景があるのだろう。しかし、もう少し簡単に誰もがドライブで行けるような絶景はないのだろうか。
美瑛から旭川へと向かっていたときのこと。信号待ちをしていると、突然、頭上間近に飛行機が迫ってきた。思わず視線で追いかけると、その先に旭川空港が見えた。空港といえば、そのテリトリーに入った瞬間に空気が変わるような、たとえば人工的かつ広大な土地にまっすぐ高速道路が伸びているような、決められた型があるように思っていたのだが、そこは違った。ごく普通の田舎町の、ごく普通の通りにある感じなのだ。 脇道に入っていくと、空港の外周に沿ってドライブできる通りがある。ターミナルの真正面で止まって、しばらく空港を眺めていたが、背後に舗装されていない小さな坂道があることに気づいた。10mほどのその丘を徒歩で登ると、ちょうど丘からひょっこりと顔を出すような格好になる。そのとき見えた世界が、まるで人形劇。田んぼできた緑の地平線をトコトコと車が駆け抜けていくのでありました。
----道なき道を行け。そこに名もなき絶景はある。----
ライター 志賀章人(しがあきひと)