埼玉県秩父郡
天然氷の生産・販売を手掛ける蔵元はいま、日本に6軒しかない。そのうちのひとつが、埼玉県秩父郡の阿左美冷蔵。1992年に天然氷のかき氷専門店開き、かき氷ブームの火付け役と称される。凍えるような大雪の日、夏には3時間待ちの行列ができる人気店を訪ねた。
最寄りのICから【E17】関越自動車道「花園IC」を下車
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「きれい……」と、思わず感嘆の声が漏れた。
埼玉県秩父郡の阿左美冷蔵6代目、阿左美幸成さんが運んできた天然氷のかき氷は、モコモコふわふわしていて、真夏の入道雲のようだった。日の光に照らされて、白く発光しているように見える。
僕がイメージする屋台のシャリシャリしたかき氷とはまったく異なるフォルムで、なにもいわれなかったら、この白いモコモコがかき氷と気づかないかもしれない。
阿左美さんが、蔵元秘伝の「みつ」をかける。真白な入道雲の上空を旋回する容器から、高級砂糖「和三盆」を用いた「みつ」が垂れる。それが氷に沁み込み、黄金色に色づいていくさまは、なにか静謐な儀式のようにも見えた。
これが、真夏になると3時間待ちの行列ができるという阿左美冷蔵のかき氷。でもこの日、店内には誰もいなかった。取材の日は大雪で、臨時休業になっていたのだ。僕は、貸切状態の店内で、氷の山を崩さないようにスプーンを差し込んだ。
真冬のかき氷、お味はいかに?
未知の細道の旅に出かけよう!
冬にしか出会えない、寒さを忘れるかき氷