取材の日はほかに、近年、その濃厚な甘みで旋風を巻き起こしている埼玉生まれのイチゴ「あまりん」のシロップに練乳をかけたかき氷(1500円)、「桜みつ 粒あん付き」(1400円)、マロンミルク&塩キャラメルのかき氷(1400円)を頼んだ。これだけオーダーできたのは、なるべくたくさん旬の味を体験したくて、同行者を募ったからだ。
冬から春にかけて用意されたシロップはどれも、決して前面に出過ぎず、かといって控えめでもなく、敏腕伴走者のように天然氷の力を引き出していた。なかでも、真白な氷が淡いピンクに色づく桜のかき氷は、桜餅のような塩気と甘みが絶妙なバランスで氷とハーモニーを奏で、いつまでも記憶に残る味だった。
僕らはダウンジャケットを着こんだまま、夢中になってかき氷を口に運んだ。同行者のひとりに、「イオさん、牛丼食べるみたいにかき氷食べますね!」と言われた。この表現からもわかるように、僕は寒さを感じる暇もなく未知なるかき氷を堪能していたし、それはふたりの同行者も同じだった。
冬にかき氷なんて酔狂な、と思うかもしれない。でも、阿左美冷蔵には寒さを忘れるかき氷がある。冬にしか出会えない味がある。
未知の細道の旅に出かけよう!
冬にしか出会えない、寒さを忘れるかき氷