未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
277

山梨県北杜市

八ヶ岳南麓の小淵沢に、日本で初めての絵本専門図書館「えほん村」ができたのは、1983年のこと。今や親子3世代が故郷のように訪れるこの場所には、世界中の絵本はもちろん、妖精や魔女たちが住まう不思議な世界が広がっている。まるで魔法使いに会いにいくような気持ちで、えほん村の生みの親に会いに行った。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.277 |25 March 2025
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
山梨県北杜市

最寄りのICから【E20】中央自動車道「小淵沢IC」を下車

【E20】中央自動車道「小淵沢IC」までを検索

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#1色使いと木の質感が温かい、子どもと大人の秘密基地

  • 入口を入ってすぐのギャラリースペース。見ているだけで満たされていく、美術館のような空間だ。

カラフルな文字で「えほん村」と書かれたドアを開けると、そこはまるでおもちゃ箱のようだった。大きな窓から光が差し込む1階にも、螺旋階段を上がった先の2階にも、世界中の絵本がびっしりと並べられている。さらに、今にも動き出しそうな木製の動物や妖精、魔女たちが顔を出す。いろいろなものが詰め込まれているのに、心が落ち着く不思議な空間だ。

えほん村には、至る所に魔女が隠れている。

「八ヶ岳は避暑地なので、ゴールデンウィークや夏休みの時期は子どもたちでいっぱいです。秋口になると静かになって、おひとりやご夫婦でゆっくりと本を読みに来られる方が多いです」

館内を案内してくれたスタッフの池田さんもまた、小学生の頃にえほん村を訪れていた子どものひとり。近くに暮らす祖父母の元を訪れるたびに、えほん村に遊びにきては本を読んだ。15年前に山梨に移住したことをきっかけに、数年前からえほん村のスタッフとして働き始めたという縁のある人だ。

「子どもの時のえほん村の印象は、わくわく半分、こわい半分。誰かが作った秘密基地に入っちゃった……みたいな感覚でした。魔女もいっぱいいるし」

たしかに、ここまで非日常が作り込まれた空間だと、子どもには少しドキドキするかもしれない。完全に子ども向けというよりは、大人も楽しめるようにデザインされているのだ。えほん村で掲げられたフレーズは、まさに『0~100才のこどものこころへ』。

「ここを作った松村太三郎と雅子、ふたりとも子どもみたいな人っていうか、不思議な人たちなんですよ。話してもらえたら、ここがこうなった理由がわかると思います」

えほん村は、松村太三郎さんと雅子さんという絵本作家の夫婦が始めた。近くのアトリエで制作をしつつ、えほん村を運営するおふたり。それぞれどんな道を通って、子ども部屋のような場所を作り上げたのだろうか。

大きな窓からひかりが入る、1階。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

八ヶ岳の「こどものこころ」を訪ねて

最寄りのICから【E20】中央自動車道「小淵沢IC」を下車
えほん村は、2歳以上550円で閉館まで絵本を楽しむことができる。途中でランチやお茶をしに外へ出て戻ってくることも可能なので、近くのカフェや飲食店などでごはんを食べて、また絵本の世界に戻っていくのもいいだろう。えほん村では、日によって「絵本ライブ」と呼ばれる読み聞かせや、マリオネットショーなどのイベントも開催しているので、チェックしてから行ってみよう。
ehonmura 0才~100才の子どものこころへ

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。