太三郎さんは主に木工作家、雅子さんは絵本作家として活動を続けながら、たくさんの人が訪れる場を営み続けて40年。ふたりにとってこの場所がどういう存在なのかを聞いてみると、先に太三郎さんが「僕と彼女とでは、少し考え方が違うかも」と口火を切った。
「僕はここに来る人をね、ビックリさせたいんですよ。『へえーこんなことができるんだ!』とか『おもしろい発想だな』とか。毎日のようにアイディアが湧いてくるから、作品もえほん村も常に変化していく。それが面白い」
えほん村の敷地には小さな小屋がいくつか点在しており、それらも太三郎さんの手作りだ。アイディアが浮かんだら建物を増やしたり、内装を変えたり、新たな家具を作ったり。日々アップデートされる世界観で再訪者を魅了する。そのアイディアはどこからやってくるんだろうか。
「やっぱり自然の造形から得られるものが大きいですね。例えば、森からやってくる妖精のために、ものづくりをしようと思ってみたりね。本当に見たこともあるんですよ。『これを子どもたちが見たらびっくりするだろうな』と考えながら作ったりもしています。だからアイディアが生まれる限り、終わりがないんです。きっと死ぬまで作り続けるのかなと思いますね」
御年80歳。ものづくりをしている間は年齢のことを忘れていると話す太三郎さんは、今でもずっと子どもの頃と同じ目線で世界を見ているのだろう。ただ、体力的な不安を考えると「そろそろ辞めようか」と考える日もあるという。
「そういう波は時々来るんだけど。えほん村に来てくれるみなさんと話をしていると、なんかね、『またがんばろう』っていう気持ちが湧いてくるんですよ」
未知の細道の旅に出かけよう!
八ヶ岳の「こどものこころ」を訪ねて
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