岩手県金ケ崎町
まるでタイムスリップしたかのような古い町並みが続く金ケ崎で、ある日、二人の研究者が出会った。親子ほども年が違う二人のフィールドワークを通して、江戸時代の魅力が詰まったこの町の魅力を訪ねてみた。
最寄りのICから東北自動車道「水沢IC」を下車
最寄りのICから東北自動車道「水沢IC」を下車
五月のある日、静かに小雨が降る朝八時。私は岩手県金ケ崎町の諏訪小路というところに来ていた。北上川のほとりにある「金ケ崎町城内諏訪小路」は、東北では8件、岩手県では唯一の重要伝統的建造物群保存地区、略して重伝建地区なのだ。(平成29年2月現在)
そしていま私の傍にいるのは、金ケ崎町出身の千葉周秋(かねあき)さんと「妖怪博士」こと市川寛也さん。つい先月30歳になったばかりの市川さんは新進気鋭の研究者で、東北芸術工科大学芸術学部美術科の専任講師でもある。その研究は芸術学の枠組みの中で「妖怪」を捉え、人間や町の歴史、美学を考察するという、とてもユニークなものだ。
金ケ崎は、市川さんがまだ学生の頃から調査を続けてきた土地ということで、今回は千葉さん、市川さんとともに街を歩いた。
松本美枝子