未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
91

岩手県金ケ崎町

まるでタイムスリップしたかのような古い町並みが続く金ケ崎で、ある日、二人の研究者が出会った。親子ほども年が違う二人のフィールドワークを通して、江戸時代の魅力が詰まったこの町の魅力を訪ねてみた。

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.91 |25 May 2017
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岩手県金ケ崎町

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#1岩手県唯一の重伝建地区

一般公開されている旧坂本家侍住宅

 五月のある日、静かに小雨が降る朝八時。私は岩手県金ケ崎町の諏訪小路というところに来ていた。北上川のほとりにある「金ケ崎町城内諏訪小路」は、東北では8件、岩手県では唯一の重要伝統的建造物群保存地区、略して重伝建地区なのだ。(平成29年2月現在)

 そしていま私の傍にいるのは、金ケ崎町出身の千葉周秋(かねあき)さんと「妖怪博士」こと市川寛也さん。つい先月30歳になったばかりの市川さんは新進気鋭の研究者で、東北芸術工科大学芸術学部美術科の専任講師でもある。その研究は芸術学の枠組みの中で「妖怪」を捉え、人間や町の歴史、美学を考察するという、とてもユニークなものだ。

 金ケ崎は、市川さんがまだ学生の頃から調査を続けてきた土地ということで、今回は千葉さん、市川さんとともに街を歩いた。

重伝建地区を調査する市川寛也さん(左)と千葉周秋さん(右)。市川さんの研究では、地域に伝わる物語を辿りながら東京都荒川区のまち歩きを楽しむためのスマホのアプリ「南千住百物語」(製作:NPO法人千住すみだ川)なども開発。
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未知の細道 No.91

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。