津波が気仙沼を襲った日、岡本さんはいつものように工場にいた。
「何日か前にも注意報が出てたから、まあそんなに大きいのは来ないだろって。でも警報の波の高さが、3メーター、6メーター、10メーターってなっていって……。それで海を見たら底が見えるくらいに波が引いちゃってるのが見えたから、急いでみんなを避難させた」
幸い従業員はみんな助かったが、工場は流されて跡形もなくなっていた。
「1階部分はほぼ全壊状態。ストックしてあった氷は全部ダメになっちゃった。とにかく瓦礫を撤去して掃除して直して……。でもうちは助かった方でね。氷を作るメインの機械が2階にあったんです。だからある程度経った頃には、水と電気さえ復旧すれば氷は作れる状態まで戻すことができていた」
当時、気仙沼で氷が作れたのは岡本製氷冷凍工場だけ。震災の3ヶ月後には市場を復活させると発表していた気仙沼にとって、岡本さんの作る氷が命綱だった。
「氷がなければ出荷できないから、水揚げもできない。都市部に氷を卸していたなら待ってくれと言えたかもしれないけど、お客さんの9割は地元の人たちだから。やらなきゃっていうプレッシャーがありましたね」
そして震災から6年経った今年、岡本さんは氷の水族館を復活させた。それは震災前の水族館を知る人々が驚くようなリニューアルだった。
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ウィルソン麻菜