岸先生に、小網代の森で一番好きな季節はいつかと聞いてみた。
「全部いい。誰もいない冬もけっこういい。一番きれいなのは6月。トンボがいて蝶々がいて…… 。
小網代にいると、人間は大地の上に生きていて、空があって、海があって、鳥がいて、虫がいて、生き物がたくさんいて、そういう世界の中で生きているという感覚に躊躇なしに浸ることができるんです」
その口調には、小網代の森への愛情がふつふつと溢れている。
やっぱり日本全国を見回しても、ここは特別な場所だと思いますか。
そう私が聞くと、先生はきっぱりとこう答えた。
「さあ? 僕、そんなに日本中を歩きませんから。ずっとここにいて、ほとんど出歩きませんから」
その言葉には、ハッとさせられた。
「僕は、世界中の珍しい自然とかには、まーったく関心がないです。どこに行ったことがあるとかいう話には一切交わらない。ここが僕の地球だから。僕の地球はここだから。僕にとっては(自然の)お世話をしているかどうかの方が大事。ケアラー(世話をする人)として地球に暮らすのか、旅人として暮らすのか、宇宙人みたいにして暮らすのか。僕はケアラーとして地球に暮らすのが納得できる生き方ですから」
僕の地球はここ──。
そう言い切れる生き方は、なんと清々しいことか。旅人として生きることに熱心な私には、本当に身につまされる言葉だった。
未知の細道の旅に出かけよう!
三浦半島の海と自然を満喫プラン 1泊2日
予算の目安1万5千円〜
※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。
川内 有緒