「全部で300足以上は買いました。一番高かったのは一足13万円くらいかな……。革靴の履き心地の良さや履いた時の高揚感など、ほかの靴にはない魅力を感じていたんだと思います」
大学4年生の時には「もっと革靴に触りたい」という理由で靴修理のアルバイトを始め、ますます革靴に詳しくなっていった菱沼さん。アルバイトで稼いだお金で革靴を買い、修理しながら履いた靴を売って、そのお金をまた新たな靴につぎ込む、という生活だった。当時は靴関連の仕事に就くつもりはなかったと話すが、社会人1年目で通い始めた靴づくり教室で衝撃を受けた。大好きな革靴を、自分の手で作ることが楽しすぎたのだ。
「信じられないくらい楽しくて、教室に行く週末が待ちきれないという感じ。だんだんと仕事をしている時間すらもったいないというか、『この時間も靴が作れたらいいのに』と思うようになっていって……」
趣味に明け暮れる人の頭を一度はよぎる「仕事しないでずっとこれをやっていたいなあ……」という妄想。2020年、菱沼さんはその思いに従って仕事を辞め、靴修理のアルバイトに舞い戻った。靴の会社への転職や職人への弟子入りは考えず、自らの名前「Ken Hishinuma」を省略して名付けた「Khish the Work」を自身のブランドとして立ち上げたのだった。
横浜にある実家のマンションの自室を工房に作り替え、本格的に靴づくりを始めると会社員時代に比べて作ることができる靴の数もクオリティも上がっていく。年に一度、作り貯めた靴を披露する展示会を開くと、初回は6足、2年目には8足、展示したすべての靴が売れた。初めてオーダーメイド靴の予約販売をした時には、ネットで予約受付を始めると開始2分で10足の予約枠が埋まった。
未知の細道の旅に出かけよう!
世界一のオーダーメイド革靴
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