「ときどき無性に『なにか作りたい!』という欲が湧いてくる子どもだったんですよね。それでなにかを作ると、ふー……とおさまる、みたいな感じで」
1994年、神奈川県横浜市で生まれた菱沼さんは、クリエイティビティの塊のような子どもだった。どんなものを作っていたのか聞いてみると「うーん、特にこれってものがあるわけじゃないんですけど……」と言いながら、折り紙、粘土、彫刻、木工などさまざまな例を挙げた。
日曜大工やDIYが好きだった父親を手伝っていたため、幼少期からノコギリやトンカチにも抵抗はない。バイオリン作りにも挑戦したといい、木を削って作ったエレキバイオリンは実際に音が出るまで作り込んだ。
菱沼さんが特に夢中だったのは、レゴブロック。2歳頃から中学生まで誕生日やクリスマスのプレゼントはすべてレゴで、空き時間はとにかくずっとなにかを作っていた。一度説明書のとおりに作ったらバラして、ほかのブロックと混ぜてオリジナル作品を作っていく。
一番の大作はなんだったのだろう。うーんと少し悩んだあとに「ライフルですかね…」と呟いた菱沼さんに思わず「えっ?」と聞き返してしまった。聞けば、レゴブロックには積み上げていくタイプのほかに「レゴ テクニック」という機構的なシリーズがあり、小学生だった菱沼さんはそれを駆使して実際に弾が撃てるライフルを作ったという。
「あとは、目がよかったんですよね。単純な視力の話ではなくて“細部を見ている子”だったと母から言われたことがあります」
菱沼さんの母親が覚えているのは、幼稚園児だった菱沼さんが本屋の大量の本のなかから新書の背表紙にある小さなロゴを指差して「うちに同じ柄の本があるね」と言ったというエピソード。そのほかにも、夏休みの恒例だったキャンプや山登りで、菱沼さんが自然のなかから虫を見つけ出すのが得意だった記憶もある。
「歩きながらじっと地面を見ていると、虫が見えるんですよね。葉っぱの裏にいても影で『あ、あそこにいる』ってわかるんです。今考えると、あれは大量のレゴブロックの山から自分が思い描いたパーツを探していて身についたのかもしれないなって」
レゴブロックで、そんな力が身につくとは! もちろんレゴで遊んだすべての子がそうなるわけではないものの、さまざまなものづくりのなかで手先だけでなく目まで鍛えられて今の菱沼さんがある。
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