都内の進学校に進んだ菱沼さんは、吹奏楽や英語劇の裏方を経て、高校では美術部に所属。ものづくり欲そのままに絵を描き続けていたのだろうと思ったら、「年間2枚くらいしか描いていなくて」と笑った。
絵を描く代わりに、青春時代を捧げたのはガジェットいじり。ちょうどiPhoneが出始めて世間を騒がせていた時代で、菱沼さんはiPod touchのデータに触ってスクリーンの見え方や動作をカスタマイズすることに夢中になった。学校帰りに池袋に寄っては電気屋巡りをして新しいガジェットを購入したり、ネットで仕様変更の技を調べたりして過ごしたという。
「高校進学の時に理系を選んでいたこともあって、当時はITや電気関係の仕事も少し考えていたような気がします。あとは美大もいいなと思っていて。勉強よりも絵を描きたいなという気持ちがありましたね」
ところが、菱沼さんが選んだのは建築学だった。
「学校の先生に『美大からの就職は難しいかもしれないよ』と言われたんです。それでほかの学科も見に行ったら、建築学科の展示物がかっこよくて。デザインの要素もありながら実用的といわれるプロダクトデザイン関係や建築関係の大学を受験することにしました」
建築デザインを学ぶために進学した菱沼さんだが、授業を受けるなかで梁や柱などの配置を設計する構造建築の分野に興味が沸いたという。
「建築には“美術的な部分”と“実用的な部分”があるんですけど、僕には美術的な部分の評価軸が曖昧に思えたんですよね。工学的な要素の強い構造建築では、物理的に『建つか・建たないか』といったエビデンスに基づいた判断ができるのがいいなと思ったんです」
そのまま建築学で大学院まで進み、内装設計施工の会社に就職した菱沼さんはテーマパークの外装の設計などに携わるようになった。
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