2024年12月、長澤さんは中国の雲南省にいた。それも、アカデミー賞の授賞式かと見紛うほどの立派な会場のステージ上に。
長澤さんの目の前には、1000人の聴衆。最前列には、雲南省保山市長やニカラグア共和国の大使などのVIP客が、ズラリと並んでいた。
中国最大のコーヒーの生産地である雲南省と岩手県は、「友好交流協力協定」を通じて交流を深めてきた歴史がある。政府間をはじめ、農林業、青少年育成、観光、経済貿易など協力関係は多岐にわたる。
2024年10月には、ニューヨーク・タイムズで紹介された同店に雲南省のコーヒー事業者たちが注目し、視察に訪れていたそうだ。
これらの縁から、「雲南省でコーヒーの仕事をする人たちに向けて講演をしてほしい」と、長澤さんに依頼があったのだ。
「ちょっとしたホールで、数十人を前に喋るだけだろうと思っていたんです。講演前日に会場を見に行った時、『うそだろ、やばいぞ』ってすごく焦りましたよ」
当日は、朝ごはんが喉を通らなかった。原稿の棒読みにならないよう、ギリギリまで声を出して練習して、内容を頭に叩き込んだ。
本番では同時通訳が入る。ちょっと噛んでしまったとしてもバレることはないだろう。大事なのは、いかに堂々と振る舞うかだ。そう自分に言い聞かせて、長澤さんは壇上にあがった。
10分間の講演では、SPRUDGEやニューヨーク・タイムズなどの世界的メディアで紹介された経緯、日本のコーヒー文化や産業の動向について話した。
最後に、「コーヒー生豆の生産者、コーヒーを焙煎し提供する人、それを飲む消費者、すべての人が満足できることがいちばんの理想で、目指すべきことだと思っています」と締めると、会場は盛大な拍手に包まれた。「すごくよかったです」「また来年も来てください」そう口々に言われた。
未知の細道の旅に出かけよう!
世界から注目される盛岡の小さなコーヒー店の軌跡
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