未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
274

「店主こだわりの一杯」ではなく「一人ひとりの飲みたいもの」が並ぶ店 世界から注目される盛岡の小さなコーヒー店の軌跡

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.274 |10 February 2025
この記事をはじめから読む

#5赤字経営からの巻き返し

開店当初は、ひとりも客が来ない日が何度もあった。オープンから半年は赤字が続き、「さすがにへこみました」と当時を振り返る。

「でも根拠のない自信があったんです。ちゃんとしたものを出していたら、いつかわかってもらえるはずだって」

「来てくれる人の飲みたいものを提供する」ために、浅煎りから深煎りまで幅広く取り扱うようになった。エスプレッソ系やカフェラテなども用意し、メニューのラインナップを充実させた。

お客さんが来だしたのは、オープンから半年を過ぎたころ。口コミやSNSの発信に加え、「ラボ」時代に豆を譲っていた人たちが足を運んでくれた。じわじわと客数が伸び、開店当初の赤字を巻き返せるまでになった。

「ちゃんとしたものを出していたら、いつかわかってもらえるはず」という長澤さんの信念は、着実に実を結びつつあった。2年目、3年目と売り上げは順調に伸びていった。

一面ガラス張りで明るい店内

TOPICS

  • 開高健ノンフィクション賞を受賞
    ニュース 川内有緒さんが開高健ノンフィクション賞を受賞

    川内有緒さんの書籍「空をゆく巨人」が、第16回 開高健ノンフィクション賞を受賞しました!受賞作品の詳細と合わせて、川内有緒さんのドラぷら「未知の細道」の掲載記事を紹介します。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。