自宅のキッチンでパンを作り始めて、20年超。「ここまで夢中になれることって、ほかにありませんでしたね。酵母とパンが、たくさんの人とつないでくれました」と感慨深げに語る太郎さん。
お店の庭には八重桜、ミカン、キンカン、ユズ、カリン、オリーブ、金木犀、ラズベリー、ブラックベリー、ルッコラ、カモミール、ラベンダー、トマトなど約50種類の果樹と野菜、ハーブなどが植えられている。これらの植物からおこす酵母が、いまも変わらずインスピレーションの源だ。
「酵母の香りからアイデアが膨らみます。想像以上に香りが広がる酵母をなんとかパンに閉じ込めてみたいと思ったり、こんなに面白い風味ならこういう材料と合わせてみたいってピンとくるんですよね。僕はパン屋なんですけど、そのパンを媒介にして、季節の香りを届けたい。お客さんに春だなって感じてもらったり、喜んでもらえたらすごく幸せですね」